■乙女でごめんくちゃい■□食堂すばる□

日替わり定食■48 ページ48

「・・・あかんか思うてた」

「ダメって？」

「無理矢理どないかしたろて、いっつも考えとった」

「どうにかする？」

「他の誰かに知らん内に持ってかれるんちゃうやろか、とか他のヤツにチョッカイ掛けられてもニブいさかい解らんとヘラヘラしとんとちやうやろか、とか」

「何を持ってかれちゃうの？」

「・・・・・・」

「ほんまお前、大丈夫か？」

「うん、元気」

「お前が健康だけが取り柄なんはイヤんなるぐらい知っとるわ！！俺が言うとんはそんなんとちゃうし！！この健康お花畑優良児が！！！」


今更ここにきて新たな呼び名が付くとは思いもよらなかった。

今迄散々酸っぱい通り名を付けて貰ったけど、この状況でまた更なるニューネームが生まれるなんて夢にも思って無かった。

ぶぎゅる、って両方のほっぺを挟まれてこんな切ない思いをするなんて。

全くの予想外、だった。


「何やねんそのアッチョンブリケみたいな顔は！ムカつくわ！！」

「・・・ピノコ可愛いじゃん・・・」


やっと答えられた事がまさかのブラックジャック。

それもアッチョンブリケにされてる私が零したセリフ。


好きって。

言った癖に。


「かわええで？ピノコはかわええで！？」

「可愛いよね・・・」


好きって言って貰ってキスをして。

好きって伝えてキスをして。

甘く甘く包み込まれてキスをして。

きゅうっとすばるくんを抱き締めたくて。

そっと伸ばしたこの中途半端な私の両腕の行方をどうしてくれよう。

後は抱き締めあってもう一度クチビルを重ねたい、なんて甘いキモチを抱いてた私のこの乙女なハートをどうしてくれよう。


な・ぜ・ブ・ラ・ッ・ク・ジ・ャ・ッ・ク。


「お前、俺の事好きやんな？」

「うん」

「お前、自分がアホ並みにニブいん気付いとう？」

「決してニブくは無いと思う」

「アホか！キチガイが自分は狂ってへんて言うんと同じや！！」

「とても解り易い説明をありがとう」

「ほんならお前、自分がどんなナリしとんか解ってへんやろ」

「今は不本意ながらすばるくんのお洋服を借りてる」

「・・・こない話が通じへん相手初めてやわ・・・」


「どないしょ、どないしよ」

「あかん、心配し過ぎて寝られへん仕事出来ひん、知らんかった。俺てオンナで身ぃ滅ぼすタイプやってんや、それもこないな天然ボケで」


あああ！って突然アタマを抱えるから。

取り敢えず、ごめんって言ってみたけど。

何かすっごく怒ってるよ、ね？

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