■乙女でごめんくちゃい■□食堂すばる□

日替わり定食■41 ページ41

「お前、汚れた服どないしたん」

「あ、バッグ入れてる」


酷く居たたまれない気分でごはんを食べてる私に、カウンターから肘をついて覗き込むみたいにしながら急にそんな事言うすばるくん。

まだ空いとうクリーニング屋あるから出し、ってその向こうから手を伸ばす。


「あ、ウチの近所に持って行くから大丈夫だよ？」

「シミなるやろが。お前ケツにそないシミつけとうオンナてイヤやろ、どないな羞恥プレイやねん」

「そんなおかしなとこまで飛び込むのはすばるくんだけだと断言できるけど」

「・・・お前、ほんまアホやな」

「私がアホなんじゃないもん」

「オトコはな、オンナの後ろ姿見たらまず足首見てケツ見てて順を追って舐めるように見るもんや」

「そん時にケツにそないなシミ付けとってみぃな。コイツさっきまで何しとってんて思うやろ」

「いや、絶対思わないと思うしシミ付いてるスカート外に履いて出ないし」


ええから出せ！！って勝手に人のバッグの中からスカートを掴んで外に消えてくってどうなのよ。

又もや私一人お店に放置ってどうなのよ。

だから誰か来たらどうするのよ。

すばるくんは多分、とっても優しい人なんだと思うけど。

その優しさが何ていうの？明後日の方向ってか斜め上っていうか。

その優しさの使い方、正しいの？って考えさせられる事が多々あるのよね。

そのおかしな優しさですっごく疲れるし、ハラも立つし、遠くを見つめたくなる事もすっごく多いんだけど。

でも何だろ。

それに慣れてきたのか諦めてきたのか、そこは解んないんだけどね？


まぁ・・・今日も何かとスパイシーだけど、すばるくんだしなぁ。


最近そういう風に思い始めてる自分がいる事も事実で。

相変わらず私がごはんを食べてるところを楽しそうに笑いながら見てる顔とか。

ちょっと落ち込んだりした時に見せる、滅多に出ないふんわりした笑顔とか。

ダダこねてる顔とか。

怒って文句言ってる顔とか。

拗ねてる顔とか。


何か、どれもこれもキライじゃないなって。

どれもこれも、すばるくんだものねって。

思ってる、私がいる。


すばるくんはいつの間にか私の生活リズムの中に組み込まれてる。

朝ここに寄って、お昼にお弁当食べて、夜ここに戻って来て。

私の生活の主軸には絶対にすばるくんがいる。

私の中にすばるくんはいて当たり前になってる。



すばるくんがいない私の生活って。

今の私じゃ想像も出来無いぐらいになってるのが。

事実、よね。

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