■乙女でごめんくちゃい■□食堂すばる□

日替わり定食■40 ページ40

「着替えたら降りて来ぃ」

「あ、うん」


トントンって階段を降りて行って、ポツンと一人で残される。

男の人のお部屋に入るのは初めてって訳じゃないけど、それでもほぼ初めてに近い訳で。

初めて入ったすばるくんのお部屋に妙に緊張してるのはきっと私の経験値スキルの低さに違い無い。

とっとと着替えてとっとと降りちゃおう。

生すばるくんになんて緊張のきの字もしないのに、妙にドキドキするなんてどっか調子悪いのかなぁ。

昨日扇風機つけっぱなしで寝たせいかな？何て思いながらブラウスとスカートを脱いだ時。


「すばるー？もう店閉めたんか？ちょっとこれ・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「「ギャアアアアアアア！！！」」


目の前の窓がガラっと開いて、知らない男の人が入って来て。

叫びながらどうしてこの人迄叫ぶのよ、なんてちょっとどっかムカムカするなんてどっから湧いて出た余裕なのか本当に自分に問い質したい。


「A！？」

「すばる！！何かオンナがハダカでおるぞ！！」

「ヒナお前、窓から来んな言うてるやろ！！」

「何やねんソイツ！めっちゃビビったぞ！！」

「うっさいわ！はよ帰れボケ！！」


しゃがみ込んだ私の背中に張り付いてるのは。

目の前のこの人から隠そうとしてくれてるんだろうけど。

どうでもいいけど、すばるくんもとっとと降りて頂きたい。

下着姿を晒せるようなカラダなんて残念な事に持ち合わせて無いのよ。


「二人共早くどっか行って！！」


シン、と妙に静かになった部屋の中に私の荒い呼吸だけが響いてる。

見、ら、れた。

今までたった一枚の洋服で隠し通してきたこの分厚いカラダを。

立ち直れない・・・。


「・・・・・・」

「着替えたか？あれ隣の金物屋の息子のヒナいうねん」

「・・・・・・」

「大丈夫やて、一瞬やから見られてへん」

「・・・・・・」

「俺もヒナしか見てへんかったからお前見てへんしやな、そない落ち込むな」

「・・・死にたい」

「お前が死なんでも俺がヒナ殺しとくさかい大丈夫や」


ほれ食え！！って美味しそうなごはんを沢山置いてくれるすばるくん。

だけど。

今の私はごはんを食べるよりも今すぐこの場から走り去りたいって。

・・・ご存知ですか・・・？


「A？」

「・・・ん？」

「俺はレース系が好きやで」

「・・・ハ？」

「黒のレースとかめっちゃええやん♪せや！今度そんなん」

「二人とも死んでしまえ、特にお前が死んでしまえ」

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