■乙女でごめんくちゃい■□食堂すばる□

日替わり定食■21 ページ21

「お帰り」

「ただいま」


いつもの席に座ろうとした時に、すばるくんがカウンター越しに「あーん」って言ってぎゅむっと口の中に何かを押し込む。

つい釣られてあーん、って口を開けちゃったけど。

・・・これは一体何。


「・・・なにこれ」

「ウマイか？」

「・・・なんか・・・美味しいけど・・・プルプルしてて・・・何・・・」

「スッポン出汁のゼラチン寄せ」


ゴクン、って飲み込んだ時にそんな事言うなんて。

吐き出す事も噴き出す事も出来なくなってそんな事言うなんて。


「ス・・・ッポン」

「おん、スッポン。コラーゲンたっぷりやで？お前の肌荒れもこれでバッチリやな」

「肌荒れ」

「自分、冬なったら粉吹くやろ」

「・・・・・・」


確かに私のオハダは乾燥肌かつオイリー肌のマジでどんだけ？っていうタイプだけれども。

カサつくわテカるわで最後はハラ立つぐらいのオハダだけれども。

女子同士で情報交換とかしたり、コスメとかお手入れとかの女子トークで自虐ネタぽく話すのはいいとしても。

男子にサクっと指摘されるとそれはそれでかなり泣きそうになるん、だけ、ど。


またカウンター越しに手を伸ばして、私のほっぺをするする撫でる。

オデコとか鼻とか、撫でるっていうかペタペタ触られてるっていうか。


「俺が作ったメシちゃんと食うてるから最初よかだいぶマシなってきたな」

「マシって・・・最初どんなのよ・・・」

「ボロッボロ！(笑)」

「・・・・・・」

「お前ウンコもちゃんと毎日出してへんかったやろ」

「どうしてすばるくんに私の排便情報を提供しなきゃいけないのよ」

「でも今ちゃんとウンコ出てるやろ？」

「黙秘権を行使します」

「ちゃんと毎日ウンコしとったらデブにもなれへんし肌荒れもせえへん」


そんなの解ってるわよ。

でも出ないもんは仕方が無いでしょ、つか。

赤の他人のすばるくんに、それも一応男子のすばるくんに私のウンコ事情を把握されてるってこれってもう女子として終わってるどころの騒ぎじゃないと思うのよ。

多分ウチのお母さんでも、お父さんにそんな情報は提供してないと思うのよ。

・・・なのに・・・私って・・・。


「・・・もう私の事はいいよ・・・」

「ココロ折れて泣きそう」

「ウンコしようが屁ぇここうが俺は平気やで？だってAやん」

「・・・そういう系・・・なの？」

「いい加減にせぇよお前、ほんましまいにゃシバくぞ」

「すばるくんなら無きにしも非ずな気がして」

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