■乙女でごめんくちゃい■□食堂すばる□

日替わり定食■15 ページ15

「お帰り」

「ただいま」


「なあ、お前こないだ兄ちゃん連れて来とったやん？何で兄ちゃん関西弁やのにお前標準語なん？」

「お兄ちゃん今、関西の方に就職してるの。こないだはたまたまこっちに出張だったから一緒にごはん食べただけ」

「兄ちゃんえっらい細いしエ ロい顔しとんなぁ。お前と真逆やんけ」

「・・・それ、どういう意味」


明らか今、私はお兄ちゃんと違ってデブな上に色気も何も無いって言われたわよね。

確かに。

色気よりも食い気だけれども。

でも、だけど、でも。


「私がデブなのはすばるくんのごはんが美味し過ぎるから食べ過ぎちゃうせいだと思う」

「アホか、俺はデブになるメシなんか作ってませんー」

「どうせお前寝る前とか休憩中とか甘いもんガツガツ食うとんやろ」

「・・・ﾀﾍﾞﾃﾅｲﾖ」

「ウソ吐きはヘンタイの始まりやで」


デブで色気が無くてヘンタイフラグまで立った私はもう泣きたい。

お年頃の女子にあるまじきレッテル3本柱が燦然と私の頭上に輝いてる。


「・・・好きでデブになったんじゃないもん」

「俺、お前の事デブとか一言も言うてへん」

「言ってるのと同じじゃない！」

「いや？世の中のオンナて痩せとう方がええとか思うてるんやろうけど、実際のオトコからしてみたらそうでもないもんやで」

「そなの？」

「おん。だって考えてみぃな、ギッスギスのガラみたいなオンナ抱いて何がキモチええんよ」


すばるくん。

それでも世の中の女子はね、ギッスギスのガラまで痩せられないから痩せようとするのよ。

おなか一杯食べちゃった後にね、絶対明日からダイエットする！！って誓うのよ。

その繰り返しでね、世の中の女子は痩せられないの。


「・・・すばるくんは痩せてるからそんな風に言えるのよ」

「せやで」

「え？」

「俺は食っても食っても太れへんから痩せたい言うてる人間のキモチなんか理解出来ひんわ(笑)」

「・・・ムカつく」

「お前、朝メシ食っとう？」

「食べてない」

「昼何食っとん？」

「んー・・・カフェとかのランチ？」

「お前、明日から1時間はよ起き」

「何故」

「何故て朝メシここで食うてから仕事行くからに決まっとうやろ」

「いつの間にそんな事が決まったの？」

「弁当も作ったるさかい俺のメシ以外口に入れんな」

「ものすごい強制掛けられてますよ、私」

「痩せたいちゃうんけ！！」

「・・・痩せたいですヨ」

「ほな言う事きかんかいな！！返事は！！」

「・・・はい」

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