■乙女でごめんくちゃい■□食堂すばる□

日替わり定食■13 ページ13

「お帰り」

「ただいま」


「ねえすばるくん、お願いがあるんだけど」

「保証人にはなれへんぞ」

「いや、もし保証人が必要な事があっても絶対すばるくんには頼まないから安心して」

「・・・むっちゃカンジ悪いな、何やねん」

「あのね、お料理教えて欲しいの」

「何でやねん、お前料理出来る言うとったやんけ」

「出来るんだけどやっぱり素人じゃない？人に食べて貰うなら美味しいもの作りたいじゃない？」


眉間にすっごい皺寄せながら今日のごはんの唐揚げを二度揚げしてるすばるくん。

あぁ？何やて？って言葉と顔で物凄く威嚇されてる私は、今日も記憶が確かならお客の立場よね？といつものように自問自答する。


「おい」

「なあに？」

「お前料理習うて誰に食わせる気ぃやねん」

「誰でもいいじゃない」

「良うないから言うとんやろ、あぁん！？」


お巡りさーん。

物凄くガラの悪い人が目の前にいますー。


「お前がヨソのオトコに食わすもんを何で俺が！」

「せやったらお前のオリジナルで相手のオトコがハラ壊してしもたらええねん」

「どうしてそこ具合悪くなる前提なワケ」

「うっさい！」

「それにどこからオトコの人に食事を作る話になってるのかサッパリ見えない」

「お前言うたやんけ！美味いもん食わせたい言うたやんけ！」

「確かにそれは言ったけどオトコの人なんて一言も言って無い」

「じゃあ誰やねん！言えるんかいな！？お前俺の目ぇ見て言えるんかいな！」


いや、普通の顔してても油断してたらその目力に驚くんだから。

そんなに本気で睨まれたら石どころか木端微塵になりそうなんだけど、私。


「お父さんとお母さん」

「何やて！？ケッタイな名前のオトコやのう！？」

「お父さんはオトコの人だけどお母さんはオトコじゃないし、そんな複雑な家庭事情は抱えて無いと思う」

「両親が今度来るの。だから実家にいた頃は何もした事無かったからお料理でも作ったら少しは安心してくれるかなって思って」

「・・・」

「だから教えて貰いたいなぁって、すばるくん？」

「ぐすっ、ええ話やんか」

「泣く程じゃないと思う」

「お父はんとお母はんに俺の料理食わせたいて・・・お前本気やねんなぁ・・・」

「すばるくんのお料理じゃなくて」

「おん、おん。ええよ、お父はんらの好きなもんぎょうさん俺作るわ！な！A！」

「はよ安心させたろ！な！」


何があっても。

うちの親とすばるくんだけは会わせたく無い。

なんとなくだけど。

日替わり定食■14→←日替わり定食■12

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す