■乙女でごめんくちゃい■□食堂すばる□

日替わり定食■12 ページ12

「お帰り」

「ただいま」


「なあなあA」

「んー？あー、喉乾いたー。今日すっごくお外蒸してる。麦茶おいしー♪」

「なあって」

「なあに？ってば。あ、メール」


すばるくんが何か話掛けようとしてるけど、この着信音は会社から。

こんな時間になんだろ。

まだ残業してるのは確か隣の課の人だけだと思うんだけど・・・？


「オイ！」

「あ、ごめんね。ちょっと一本電話」


思えばこの時まずメールで用件聞けば良かったのよね。

だけど電話の方が早いし確実と思ったんだもの。

メールって文字打つのが面倒っていうか、打ってる間に電話なら終わる事って多いじゃない？

早くすばるくんのごはん、食べたかったからなんだけど。


「はい、はい」

「そのデータでしたら明日の午前中入稿ですから・・・」


・・・思えばどうして気付かなかったのかしら。

いつものすばるくんだったら、電話してようがメールしてようが、紙に文字を書いてまでアピールしてるのに。

こんなに大人しくしてる事なんて絶対に無いのに。

・・・はあ。

ウッカリにも程があるわ。


「はい、解りました。じゃあ明日朝イチで・・・はい、お疲れ様です」


ケータイをタップして、アタマの中で明日の朝イチからの仕事のシミュレーションを組み立てて。

はう、って一息ついて顔を上げたら後ろ姿のすばるくん。


「あ、ごめんね？なあに？」

「・・・」

「残業してる隣の課の人だった。データまだ上がって来てないのかなぁ？」

「・・・」

「あーオナカ空いたぁ。今日の定食なあに？すばるくん？」

「・・・」

「すばるくん？」

「・・・」

「どうしてずっとそっち向いてるの？てか、ごはん食べたい」

「・・・」

「すばるくん？」

「・・・」

「すばるくんってば！！」


ずっと黙ったまんま向こうを向いたままのすばるくんが、肩越しにチラっと顔だけこっちを向けてじとっと見る。


「・・・なに」

「フン」

「フン？」

「フン、もうええ」

「なにが？」

「俺の事シカトしよってから。他のオトコと楽しそうに話しよって。フン」

「は？何言ってんの？」

「俺が呼んでんのにシカトしよってから。フン」


ダン！！と目の前に出されたどんぶりごはんと卵一つ。


「なにこれ？」

「お前なんかこれしかやらん、フン！」


よく解んないけど。

何かしちゃったの、かな。


「・・・いただきます」

「フン！！！」


卵かけ・・・ごはんかぁ。

いやでも。

かなーりコレ好きだけどね？

日替わり定食■13→←日替わり定食■11

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す