逢引アクアリウム-5 ページ13
「あ、待ってください。切り分けますね」
「それくらい自分でやる」
おや。普段のレオナ様ならフォークを突き刺してそのままかぶりつきそうなのに。
ただの気まぐれなのか、今日は優雅なしぐさでフォークとナイフを使い、お肉を切り分けて食べていた。
さすが王子様。ちゃんとテーブルマナーを身につけていらっしゃる。
値段の分からない料理を提供されたにもかかわらず、動揺する様子のないレオナ様を見て、フロイド君は「つまんねーの」と言いながら下がっていった。
私は自分の前に提供されたスイーツを観察する。
水色のソースがかかった浜辺のパンケーキと、貝殻の形をした砂糖菓子で飾られたキラキラ貝殻のパフェに思わずスマホを取り出した。
可愛いものや綺麗なものを見ると写真に収めたくなるのは当然のこと。
マジカメにアップする気はないが、記念にいろんな角度から撮影した。
「そういえば、知らなかったな。お前の連絡先」
「え……? あー……」
レオナ寮長がスイーツ撮影をしている私のスマホを凝視して言った。
やばい。オシャレすぎるスイーツを前にしてついスマホを取り出してしまった。
アドレスの交換を持ち掛けられないように存在を隠していたのに。
「登録するからマジカメのID教えろ」
「あの、僕……マジカメはやっていなくて。メールアドレスでもいいですか」
「なんでもいい」
マジカメのIDはヤバい。
レグルスではなく私個人のIDになってしまうから。
レオナ様が自分のスマホのアドレス帳画面を開いて寄越したので、レグルスの名前と私の電話番号とメールアドレスを登録した。
アドレスに名前は入れてないし、誕生日はレグルスと一緒だからバレることはない。
「お前のスマホにも登録しておけよ」
「は、はい」
「……」
「できました。お返しします」
私のスマホに初めて家族以外の男の人のアドレスが登録された。
なんだか不思議な感じがして、その画面をじっと見つめめてしまう。
「溶けるぞ」
「え? ──あ、」
レオナ様が指差したのは、柔らかくなったアイスが乗ったパフェ。
熱々で運ばれてきたパンケーキもこのままでは冷めてしまう。
私は美味しさのピークが過ぎる前に、慌てて二つのスイーツを口に運ぶのであった。
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月歌兄弟(プロフ) - タイトルの通り、読み手も困惑しておりこれは続編なしではみられません!続編待ってます!(意:めちゃくちゃ面白いので続き見たいです) (11月11日 16時) (レス) id: 175212f014 (このIDを非表示/違反報告)
ぺあ - き゜ゃぁぁぁぁぁ!!()やっとね!!やっとね!!おほほほほ!!!(こんなにも面白い作品を恵んでくださりありがとうございます!) (11月4日 21時) (レス) id: 04768797e7 (このIDを非表示/違反報告)
こめお(プロフ) - 需要ありまくりです!!続き待ってます!!!!引き続き執筆頑張ってください! (11月4日 13時) (レス) @page24 id: 121e674881 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑪瑙 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320
作成日時:2023年10月21日 20時