溶け合う夜 ページ38
「でも分かるなあ。実は私も部屋は汚い方なの」
ア「そうなの？」
「うん。机の上とか特にね。ジャングルだってクロエによく言われる」
退寮までに片付けないとなのにね、とAは気恥しそうに笑う。
アルバスはAの新しい一面を知れて嬉しかった。
どんなに完璧そうな人でもそういうところがあるんだと。
それにそんなAを知っているのはクロエを除き、アルバスだけだ。
みんなの前ではしっかり者で、隙を見せないA。
でもアルバスの前だけは違う。
新しいAを知っていく度に好きが積もって溢れそうになり、自分しか知らないAを見つけたくなる。
完璧じゃないAも好きだ。
今も綺麗で色っぽい瞳で自分を見つめるAをアルバスだけが知っていて、自分以外、Aのこんな姿は知らなくていい。
ア「A、」
アルバスは堪らずAを抱きしめてそのまま抱き上げ、ベッドに座る。
「ねえ、もっと壊れるぐらい強く抱きしめて」
Aはアルバスを抱きしめ返して熱を帯びた声でそう囁く。
その声はアルバスの体の熱を上げていき、痺れるような感覚に襲われる。
「そしたら、息ができなくなるくらいキスして」
アルバスが深く、長いキスを落とすとだんだんAの体も内側から火照ってくる。
アルバスはそのままベッドにAを押し倒す。
ア「A…僕おかしくなってきてる」
アルバスは顔を赤らめて苦しそうにAを見つめた。
Aのことが好きすぎておかしくなりそうだ。
アルバスの目はもういつもの少年の目では無い。
目の前の獲物を捉えたような雄の目だ。
「アルバス苦しい？」
ア「苦しいよ…本当に君を目の前にするとどうにかなりそうだ。自分でも思ってた以上にAのことが好きみたいで」
Aはアルバスに手を伸ばし両手で頬を包み込む。
「私のこと、これからどうするの？」
ア「それは、その、」
アルバスは改めて目の前のことを考えて息が詰まる。
ア「今すぐ…Aの身も心も僕でいっぱいにしたい」
アルバスの答えを聞いたAはクスッと笑って頷く。
「いいよ、アルバスだから。全部教えてね、アルバスのこと」
ア「忘れられないぐらい全部教えるよ」
もう一度キスをしたのが始まりの合図だった。
今宵、恋人たちは目眩がするほど抱きしめあって、ただお互いの愛に溺れ続けた。
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作者名：ななや | 作成日時：2023年1月5日 17時
