ほんとは優しい ページ27
着いたのは下層階東の薬草学の教室近くだった。
クロエは壁にもたれてかかって「で、なんだっけ？」と腕を組んでアルバスを見る。
いつもハーフツインにしている髪は今日はポニーテールにしており、クロエはそれを解いてため息を着く。
自分と話すのがそんなに不愉快なのか、とアルバスは思った。
ア「Aの好きなもの」
ク「あー、そうだったわね。最初に言っとくけど…これはAのためだからね！あんたのためじゃない！Aを喜ばせるため！」
勘違いすんなよ！とクロエは噛み付くように言い放ち、アルバスはその威圧感に負けそうになるが踏ん張る。
ア「わかってる」
ク「ならいいけど。Aは花が好きよ。あの子の家の庭には花がたくさん咲いてるわ。それからそうね、アクセサリーも好きだし、よく空とかも見てる」
ア「そっか、そうなんだ_______」
どれもAに似合いそうだな、とアルバスはプレゼントを考えながら頷く。
ク「スイーツも好きって言ってたわ。なんせ甘党だから。それから_____________」
アルバスはよく喋るクロエに多少の驚きを感じつつそれは多分A関係の話だからなんだろうなと思う。
ア「ありがとう」
ク「別に。Aのことがっかりさせたらただじゃおかないわよ」
ア「させない。Aの笑顔好きだから」
クロエはアルバスから出たその言葉に初めて破顔する。
どんなにキツイ人でも笑うんだな、とアルバスはクロエをまじまじ見る。
ク「何見てんのよ」
ア「いや、何も」
君も笑うんだね、なんて言ったらビンタをくらいそうだ。
ク「信じて任せるわよ_______あたしはもう行くから」
ア「うん」
クロエは歩いていこうとするがピタリと足を止めて横目にアルバスを映す。
ク「あと、クロエでいいから」
ア「えっ、あ、うん」
クロエはそう伝えてさっさと階段を上がり今度こそ消えていく。
何となくだが、アルバスはクロエのことが前より少し分かったような気がした。
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作者名：ななや | 作成日時：2023年1月5日 17時
