一番 ページ25
ア「僕がAについて知っていることと言えば、好きな匂いと、天気ぐらいだよ。それから当たり前にも頭がいいこととかね」
ス「あと胸が柔らかいこととか？」
ア「スコーピウス」
アルバスは初めてあった日のことを思い出しそうになり頭をブンブンと振る。
ス「安心しろよ、アルバス。好きな子の胸が嫌いな男なんていない」
ア「何のフォローにもならないフォローありがとう」
ス「それは冗談として、Aの好きなものを知らないのは由々しき事態だ。クリスマスプレゼントはどうするんだ？」
ア「それが僕が1番困ってることだ」
Aの喜ぶ顔を見たいがAはクリスマスになにをプレゼントしたら喜ぶだろうか。
もちろんAなら何を貰っても嬉しいと言うだろうが、どうせならAの好きなものをあげたい。
ス「こういうのはAをより詳しい人に聞くといい。ローズとかね」
ア「ローズか…」
でも多分、ローズよりクロエの方がAに詳しいのは目に見えてわかっていた。
ス「でもね、アルバス。僕、Aの一番好きなものなら知ってる」
ア「えっ？」
アルバスはスコーピウスの方を勢いよく振り返る。
ス「君だよ、アルバス」
ア「えっ」
ス「当たり前じゃないか。Aは何よりも誰よりも君を愛してる」
ア「え、あ、うん……」
なぜか少し複雑そうな顔をするアルバスにスコーピウスは首を捻る。
アルバスはただ自分たちが偽装カップルだという事実に胸が締め付けられた。
アルバスがAに好きだと伝える時はいつだって偽りではない。
Aのことを本気で好きだから不器用なりに好きだと伝えようと努力する。
いつも飄々としていて余裕もあって。
Aは来年にはホグワーツを卒業していく立派な大人だ。
それに比べれば勉強も箒も得意とは言えないし、余裕なんてない自分はまだまだガキでAの目には本当のところ自分がどう映っているのか分からない。
ス「アルバスどうかしたのか？」
ア「ううん、勝手に落ち込んでるだけ」
口を開けばため息ばかり出てしまいそうになりアルバスはそれきり口を閉ざした。
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作者名：ななや | 作成日時：2023年1月5日 17時
