そんなこと ページ3
夕食の時間になり、Aはクロエと共に大広間で席について食事をした。
明後日は遂にアルバスと初デートだ。
Aはつくづく自分の余裕の無さに驚いていた。
服や髪型はどうしようかと一人で悶々と考える日々を送っている。
ク「A食べないの？」
ボーッとしているAの顔をクロエが不自然そうに覗き込む。
「ちょっと考えごとしてて」
Aはゴブレットに入った飲み物をゴクリと一口飲む。
ク「まさかポッターのこと？何かされたの？」
「そんなんじゃないよ。アルバスはいつも優しいし面白いの。ユーモア溢れてる」
Aが物思いに更けるように言うとクロエは顔をしかめる。
ク「でもさあ、卒業したらどうするわけ？」
クロエのこの何気ない一言は以外にもAの胸に爪痕を残した。
そんなこと、考えてなかった。
今は今が楽しくてただ毎日を過ごしていた。
進路については色々なことをもちろん考えていたがアルバスのことはあまり考えられていなかったのかもしれない。
それはAがこれからもアルバスといることが当たり前だと望んでいるからなのだろうか。
「それは考えるよ…アルバスにもまた言わないと」
ク「別れるって選択肢はないの？」
クロエはアルバスが気に食わないらしく「早く別れれば」と言いたげにスリザリン席に目を向けてアルバスを見る。
アルバスはいつも通りよく喋るスコーピウスの話を時々頷いたり聞き流したりしながら食事をしている。
「…そんなこと言わないでよ、私は_______」
アルバスとこれからも一緒にいたいと思ってるんだから。
Aは言いかけた口を閉じて料理を口に運んだ。
楽しかった気持が萎むようにAは黙り込んだ。
Aがアルバスを見つめるとアルバスもAを振り返った。
Aがアルバスに微笑むとアルバスははにかんだ。
そんなアルバスの顔を見て胸が小さく波打つが同時に口の中に苦味が広がるようだった。
アルバスはAの表情に違和感を感じて心配そうに見つめるがAは何でもないよ、ともう一度微笑んだ。
Aはアルバスの抱きしめる腕がひどく恋しくなった。
今すぐその全てを包む暖かな腕に抱かれたかった。
例えそれが偽りの愛でも良いと思ってしまうほどにAはただアルバスが欲しかった。
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作者名：ななや | 作成日時：2023年1月5日 17時
