離さない ページ19
夕食が終わり、アルバスとAは人気の少ないところに行って足を止めた。
立ち止まったAはくるりとアルバスを振り返ってじっと見つめる。
ア「どうかした？」
アルバスがそう言うや否やAはアルバスをきつく抱きしめた。
突然のハグに困惑しながらもアルバスもAを抱き締め返した。
ア「A何かあった？」
すぐ近くでするアルバスの優しい声は心に響くようでAには世界一心地いい音のように思えた。
「なんでもない、なんでもないけどこうしたかった」
ア「僕も_______ずっとこうしてたい」
無言のまましばらく抱きしめあっているとAが小さな声で話し始める。
「アルバスはクリスマス休暇どうするの？」
ア「まだ決めてないんだ。Aは残るんだよね？」
「うん」
ア「僕も残ろうかな」
アルバスがそう言うとAは「本当？」と言うようにアルバスを見つめた。
ア「僕さ、休暇中にも君に会いたいんだ」
アルバスの真っ直ぐな瞳と言葉に胸が高鳴ってなぜか涙が出そうな感覚に襲われる。
なんでこんな変な気持ちになるんだろう。
どうしようもなく切ない気持ちがAの心を囲い込むようだった。
「私もね、ワガママ言っていいなら残って欲しい…」
ア「じゃあ残る」
「ありがとう」
いつもならそろそろ離れるAが一向に離れようとしないのでアルバスは少し不思議になった。
Aはここでアルバスを離したらどこか遠くに行ってしまいそうで根拠もないのに怖くなった。
「離れたくない」
Aがボソッと呟いた声はアルバスの耳にしっかり拾われる。
ア「それ、本気？」
「離れたくないのは本当だよ、偽りでもなんでもない…」
ア「期待しそうになる」
アルバスとAはしばらく見つめ合う。
どうにもならない緊張感が二人の間に流れてお互いがお互いの瞳から逃げられなくなる。
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作者名：ななや | 作成日時：2023年1月5日 17時
