必要 ページ18
ス「Aはあんなに眠そうだし、大変そうでもアルバスに会いたがってる。休暇中もきっとそうだよ。彼女にとって君は癒しなんじゃないか？」
ア「癒し？」
自分が癒しなんてかなりかけ離れた発想だと思う。
ス「うん、だって好きな人って全てを包み込んで幸せな気持ちにしてくれるじゃないか」
ア「確かにそうだけど_______僕が癒しかあ」
アルバスもAに抱きしめられるとふわふわした気持ちになって嫌なこともその時ばかりはどうでも良くなる。
Aはいい匂いがするし、抱きしめた時のフィット感がアルバスにピッタリだ。
ス「アルバス、ニヤニヤしてるぞ」
スコーピウスはアルバスの顔を覗き込んでニヤニヤ笑う。
アルバスは我に返ってスコーピウスから目を背ける。
ス「君って分かりやすいって感じではないかもだけど、時々バッチリわかる時があるな」
ア「僕だって別にしたくてニヤニヤしてる訳じゃないよ」
でもAのことを考えているとだらしなく口元が緩んでしまうのは仕方の無いことらしい。
もはやアルバスにとってAは主成分であり、Aを好きなことは性格の一部と化している。
自分ばっかりこんなに好きなのかな、と思う時もあるがAと本当のカップルでは無いわけでそんなこと聞けるはずもなかった。
一方、Aもアルバスを見て小さなため息を着いていた。
ク「なにどうした？勉強行き詰まってんの？」
「ううん、そうじゃない」
ク「でも食事の時ぐらい勉強ストップしなって」
クロエはAから教科書を取り上げて「行儀悪いよ」と注意した。
「ごめんごめん」
Aは別に勉強のことで悩んでるわけじゃない。
今一番自分を悩ますのはアルバスだ。
嫌とかもう終わりにしたいとかそんなことは一ミリも思ってないけど、もうここのところアルバスを見るとただ苦しい。
身体の奥がギュッとしてどうしようもない感情に駆られる。
Aはアルバスに会うのが嬉しいし、楽しいがアルバスはどうだろう。
実際のところAのことをどう思っているかなんて分からないし、本当のことを知るのが少し怖いとさえ思う。
ク「大丈夫？」
「うん、大丈夫」
おかしいくらいに絡まったこの二人の糸が解けて繋がるまでもう少し。
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作者名：ななや | 作成日時：2023年1月5日 17時
