なにか ページ14
Aの瞳に光が反射してとても綺麗だとアルバスは思った。
｢綺麗だね、久しぶりにこんなの見た｣
ア｢うん_______綺麗だ｣
アルバスはAを見つめたまま柄にもなくそう口にした。
｢どこ見て言ってるの｣
Aは顔が熱くなるのを感じつつ夜でよかったと思った。
それから数分間ライトアップは続き、それが終わるとみんな余韻に浸りながら動き出す。
ア｢僕らも帰ろうか｣
｢うん｣
歩き出そうとすると、一人大柄な魔法使いがAにぶつかる。
｢わっ！？｣
周りにはまだたくさんの人がいて更に動き出そうとしているためAはもみくちゃにされそうになる。
アルバスと繋ぐ手が離れそうになる。
ア｢Aっ、｣
アルバスはもう一度強く繋いでAを自分の方に引き寄せる。
｢待ってっ、危な_____________｣
次の瞬間、アルバスは何が起こったのか分からなかった。
ほんの一瞬だが、唇に柔らかな感触を感じた。
暗くて何がどうなったのかAにもアルバスにもあまり理解できなかったが何か柔らかくて暖かいものが唇に当たったのは紛うことなき事実だった。
しかしアルバスはこの柔らかさを頬に感じたことがある。
この柔らかさ_______触れると離れたくなくなる感じ_______Aの唇だ。
｢危なかったあ…！ごめんね、アルバス。怪我ない？｣
よろけたAをアルバスはしっかりと捕まえる。
ア｢う、うん。大丈夫。君は？｣
｢平気。人いっぱいで危ないね｣
困ったように笑うAは｢帰ろうか｣とアルバスの手を引いて歩き出す。
アルバスは正直まだ頭が混乱していた。
あれはAの唇だったのか？
それとも別の何かなのか
いや、別の何かってなんだ。
でももし唇だったら_____________。
最後まで考える前にアルバスは頭を振る。
まさかそんなわけ。
第一Aは気づいてないし、違和感も無さそうだ。
ここで｢さっきキスしたかも｣なんて言ったら頭がおかしいのかと思われるかもしれない。
それ以前に聞ける勇気なんてない。
｢アルバス？どうかした？｣
ア｢あ、ううん、なんでもない｣
Aの声によって現実に引き戻されたアルバスは少し遅れて返事をした。
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作者名：ななや | 作成日時：2023年1月5日 17時
