悪魔の面影2(アラスター) ページ7
「ぐぅ・・・！」
ギリギリと身体を締め上げられる力に押し負けて手から剣が零れ落ちる。何の身動きも取れない私の前に再度その悪魔は悠然と立ちはだかった。
「んー・・・」
観察するようにジロジロと私の身体を上から下まで見たかと思えば、悪魔は私の顎に杖の柄を添えて痛みに耐える私の顔を上げさせた。
「・・・っ！」
「・・・何処かで会ったかな？」
「悪魔なんか知るわけないでしょ・・・！」
「そんなに噛み付かなくても良いじゃないか。折角の可愛い顔が台無しだよ？・・・君、名前は？」
「あんたなんかに名乗る名はないわっ！離してっ！」
悪魔を睨み付ける私に彼は変わらぬ笑顔でそれなら仕方がないと呟き、思考を巡らせるような仕草を取った。
「最後の1人が君に向かって叫んでたねぇ。えーっと、確か・・・A、だったか」
そう悪魔に名を呼ばれた瞬間、心臓を鷲掴みされたかのような感覚に鼓動が速くなる。恐怖とは違う、知ってはいけない何かがこの悪魔にはあるのだと本能が警鐘を鳴らす。
「・・・っ！殺すならさっさと殺しなさいっ・・・！」
「折角生き長らえた命なのに簡単に捨てようとするのは感心しないなぁ。君を殺すつもりならとうに殺ってたさ。A、A、A・・・聞いた事あるような気もするが・・・。ハッキリと思い出せない・・・」
最後の方はブツブツと独り言のように暫く呟いていた悪魔だったがやがて、やーめた！と明るく声を上げた。
「どうせ時間はあるんだ、鹿肉でも食べながらゆっくり思い出すとしよう。急がなくともどうせ君を私の傍に置いておくんだから何も焦る必要はない」
「何・・・言って・・・」
さらっと言われた悪魔の言葉に思わず私の脳が思考停止する。殺すでなく、傍に・・・置いておく？そんな私を見た悪魔が楽しそうに言葉を紡ぐ。
「君が誰か思い出すためもあるが、暫く君で愉しむ事に決めた」
【NEXT】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アルバ(プロフ) - 白うささん» コメント有り難うございます！(*´ω｀*)亀更新ですがアニメ見ながら頑張りますのでちょこちょこ遊びに来て頂ければ幸いです！ (2月11日 0時) (
レス) id: 2a9e1da35c (このIDを非表示/違反報告)
白うさ - え？？？え、え！？なんか神作見つけちゃったんだすけど、、好きすぎる、、、更新頑張ってください！！ (2月10日 19時) (レス) @page5 id: 0256cf9f10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アルバ | 作成日時：2024年2月3日 1時
