第59話 ページ9
スネイプはギュッと拳を作った。
唇もキュッと噛み締める。
「……できるわけが……なかろう……」
振り絞るようにして、スネイプは小声で言った。
「――……であれば……魔法使いは絶滅しますね。ユルの望んだ世界になるでしょう――」
「………」
「――無論、あなたもですよ――」
その言葉に、スネイプはピクッと反応した。
「――あなたも魔法使いである以上、ユルは平気で殺しに来ます。身体は彼女であっても、中身は違いますから、いくら思い出があろうと、彼にとってはどうでもいいに過ぎません――」
「ならば、どうしろと！？」
スネイプはイラッとして言った。
「戦えというなら戦う！例え敵わなくても、全力でーー」
「――あなたがどうこうできる相手ではない。神の力を持っているのです。人間ひとりが対抗できる力ではありません――」
「貴様、何が言いたい！」
「――願いを叶えられるのは、あなただけなんです――」
「！？何をーー」
ブラベウスはスネイプを見つめて言った。
「――覚悟を持てば、赫い石はあなたに応えるでしょう――」
スネイプは固まった。
ブラベウスの目を見つめたまま。
「何を……言ってーー」
「――私からの助言です。あなたの覚悟次第です。できなければ、世界中の魔法界は消え去り、永遠に魔法の無い世界に変わるだけです――」
「わ、我輩はーー」
「――……助言はしましたよ――」
そう言うと、ブラベウスは一瞬で消えてしまった。
残されたスネイプはただ呆然と立ち尽くしていた。
＿＿＿＿＿＿＿
「――“エヴァを見つけた”――」
「「――！？」」
テルスの言葉に、
「――真ですか！？――」
透明のイオフィエルが言った。
「――“うん。でも……呪いがかけられている”――」
「――呪いが！？誰の呪いですか！？――」
ミハエルが身を乗り出して聞いた。
「――“厄介な呪いがかけられてる。ボクの力では解けない”――」
その言葉に、2人の天使はピンときた。
「――ま……まさか……――」
「――創造神様……ですか……？――」
「――“……一度天界へ戻って他の神々に頼まなきゃダメかもしれないなぁ”――」
テルスはう〜んと唸った。
―――“エヴァ……やっぱり近くにいた。
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作者名：あっちゃん | 作成日時：2023年6月6日 12時
