第51話 ページ1
何故赫い石が失いのか、今は考えてる暇はなかった。
キノはローズの名前を呼び続け、必死に身体を揺さぶり続けた。
『ローズ！お願いだから起きて！！ねえ、起きて！！！』
涙が溢れていく。
ガクンガクン揺れる頭、されるがままのまるで蝋人形のような身体は一向に息を吹き返す気配はない。
ローズは誰がどう見てもわかるほどの手遅れ状態だった。
必死に呼びかけるキノを見て、スネイプは思い出してしまった。
死んでいるリリーを抱き起こし、名前を呼び続け、抱き締めて絶望したあの時の自分に。
ーー………キノ………。
『ローズ……！ねえ、ローズゥ！！目をーー覚まして！どうして息をしてないの！！？』
キノの溢れた涙がローズの頬へ落ちていく。
頭ではわかっていた。
でも、現実を受け入れられなかった。
認めることなんてできなかった。
認めてしまえばローズは永久に戻ってこないーーそんな気がしてならなくて、まだ間に合うかもしれないと自分に言い聞かせて、ただただ思いと願いに縋るしかなかった。
それでも時は残酷に過ぎていくばかり。
『ローズ………ぅっくーーローズぅーー………ぅうっーー！』
揺さぶるのをやめ、キノはローズをギュッと抱き締めた。
骨と皮だけになってしまっているローズの身体を抱き締めて、キノはローズの耳元で謝った。
『ごめんなさい……こんなことになってたなんて知らなくてーーローズは大丈夫って思ってーーごめんなさい！やっぱりあなたから離れるべきじゃなかった！！あの時強く断っておけば良かったんだ！！ごめんなさいローズ！ごめんなさい！！私を許さなくていいから！だから、起きて！！ねえ、ローズゥウ！！！』
切なる願いを込めて、力一杯ローズを抱き締めたまま、ありったけの声で叫んだ。
それでも、何も変わらない。
奇跡が起きるのを期待しても、時間だけが無駄に過ぎていくだけ。
抱き締めたまま、キノは身体を震わせて大声で泣いた。
『………ローズ………ローズ………！』
間近で見るローズの顔は40過ぎているせいで皺やたるみがあった。
キノの記憶にあるローズとはかけ離れており、正直、本人なのか？と疑いたいほどだった。
それでもキノにはわかる。
この遺体がローズ本人であることに。
深く抱き締め悲痛に泣き叫ぶキノの背後に、人影が差した。
「やっと死んでくれたんだねぇ」
ルイだ。
キノの肩がピクッと反応した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あっちゃん | 作成日時：2023年6月6日 12時
