創造主の末裔 with キノの過去 (ページ49)

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第49話ページ49

キノは荷物を持って正面玄関を通り、門のところまで歩いていった。

ホグワーツ城を時折振り返りながら、その目に焼き付けるように見つめた。

戻ってくると告げていたが、瞳を見れば、もう戻る意志がないのがわかる。

でなければ、未練がましく見つめたりしない。

門のところで、キノは魔法陣を出してこの地から消えた。

そして現れたのは、キノが出て行くまで使用していた部屋の中だった。

キノの部屋は誰にも使わせていなかった。

ルルがこまめにいつ戻ってきてもいいように掃除だけはしっかりしてくれていたようで、埃が一切溜まっていない。

気配を感じたのか、ポン！という音とともにルルが現れた。

「おーーお嬢様！」

ルルがわーん！と声をあげ、キノに抱き着いた。

『ただいま、ルル。部屋を綺麗にしていてくれたんだね……ありがとう』

「ご立派になられてーーなんとお美しくなられたのでございましょう！ローズ様もさぞお喜びにーー」

『ローズは元気にしてる？』

その言葉に、ルルの小さな肩が跳ねた。

「ロ……ローズ様は……」

『手紙を送っても全然返事がないから心配になって戻ってきたんだ。ローズは何処？気配がしないけど……外に居るの？』

キノはマントを着たままローズの気配を探っている。

『……お父様の気配はする……ん？人数が増えてる……やっぱりまた少女達を迎えたんだな』

「お嬢様……その……ロ、ローズ様は……」

ルルが涙を浮かべていた。

『！』

嫌な予感がゾワッと全身を駆け巡った。

瞬間、キノの頭は真っ白になった。

そして部屋を飛び出し、ローズが使っていた部屋へ猛ダッシュする。

バン！と勢いよく開けると、部屋にはローズではなく、知らない少女がいた。

「だ、誰なのあなた！？」

知らない女の子。

『ローズ……』

キノは無意識に呼んだ。

ルルが追いかけてきた。

キノはルルに詰問した。

『ローズは何処だ！？』

「っーーや、屋根裏部屋で……ございます」

『屋根裏部屋だと！？』

魔法陣ですぐさま屋根裏部屋の扉の前に移動した。

『！？なっーーんだ、これはーー』

息を飲んだ。

屋根裏部屋の扉には相応しくない鎖がドアノブに何重にも巻きつけられていたからだ。

鎖自体に魔法がかけられていた。

それに気づいた瞬間、誰の仕業かわかった。

魔法をかけたのはルルだ。

だがルルの独断でこんな事はしないことぐらいちゃんとわかっている。

そう、ルルに命令できるのはただひとりーー

キノの父親だ。