創造主の末裔 with キノの過去 (ページ40)

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第40話ページ40

怒りで身体が沸騰したんじゃないかと思うほど、一気に体温が上昇したのがわかった。

「誘惑したに違いありませんわ。わたくし達の知らないやり方を知っててもおかしくありませんもの」

エリザベートという名の娘が軽蔑する目でローズを見下ろす。

「ほんとね。そうに違いないわ。ルイ様がお可哀想。こんな品のない汚らしい娘に騙されるなんてーー」

カトリーヌが嘲笑った。

『ーーっ！』

バァン！！

激しい音を立てて、扉が勢いよく開いた。

「「「「「！！？」」」」」

茶会にいた娘達が驚きの声をあげる。

「なーーなんですの！？品がなくってよ！！」

「まあ！なんて乱暴なの！？」

「……キノ……」

床に蹲ったままのローズが目を見開いた。

『ローズを叩いたのはーーカトリーヌ様ですね』

「あら、それが何ーーっ！！」

ビクッとカトリーヌの肩が揺れた。

キノの怒り心頭した表情を見て、思わず息を飲んだ。

物凄いオーラだった。

怒気が溢れ、広い部屋の中がガタガタと音を立てて揺れ出した。

その様子に、娘達がどよめいた。

「な、何……？」

「ゆ、揺れてますわよ！？」

一歩、また一歩、キノがカトリーヌの側へと近づいていく。

『私だからーー我慢していたのにーーローズをいつからいじめてたの？』

逃さないとばかりに、キノの見開かれた目が真っ直ぐカトリーヌを捉えている。

カトリーヌが一歩後ろに下がった。

「さ……さあ……？いつからなんてーーねえ、皆さん？」

「え？ーーえ、ええ……」

娘達は小首を傾げた。

『………そう………じゃあ、はっきりとあなたの記憶から聞かなきゃわからないってことですね』

「ーーえ？」

キノはバッと右手を突き出すと、カトリーヌの足元に蒼色の魔法陣が出現した。

「！なっーー何を！！？」

カトリーヌは逃れようと身を捩ったーーつもりのようだったが、魔法陣の効力で身体の自由が利かなくなっていた。

「んぐっ！？」

ガッ！と、キノの手がカトリーヌの口を塞いだ。

『今までの痛みと苦痛、そして、ローズに酷いことした酬いを受けるがいい！！』

「んー！んー！！んーっ！！！」

「カ、カトリーヌ様！！」

娘達が悲鳴をあげた。

何人かが、茶会から飛び出していった。

ローズは床に座り込んだまま呆然と見つめている。

魔法陣の色が強く光りーードスッ！と、刺す音が響いた。

「んんーっっ！？！？」

口を塞がれたカトリーヌが声にならないくぐもった悲鳴をあげた。

涙が滝のように流れ出る。