第19話 ページ19
「お前が拒絶しなければ、こんなことはしなかった」
『違うーー』
「なのにお前は……拒絶どころか、家宝まで手に入れ、私を敵にまわした」
『なっーー』
「お前は継承者として相応しくない」
『っーー！』
ーー泣いちゃダメッ！！
『違うっ！！』
「違わないだろう。全て事実。お前が選んだ道だ。私は血の掟を守り、ウランバルトの血をーー偉大なる創造主の力を絶やさないようにしいているのは、義務だからだ」
『創造主が決めたから何！？そんな馬鹿げた掟を守る必要なんてーー』
「この掟は絶対だ。我が一族がどれだけ子を成すのが難しいか、お前は知らないからだ」
ルイが厳しい目で言った。
『だから仕方ないと言いたいのですかっ！？何の関係もない女の子を攫って、よく平気でいられますね！！』
「……ならば、お前が子を成せばいい」
『！？』
「私に願ったことを帳消しにさえすれば済むことだろう？」
『な……何を言って……』
「お前が赫い石に願ったせいで、私はお前に近づくことさえできなくなった。その願いを無しにすれば、この子は解放されるんだよ？」
キノは唖然とした顔で父親を見据えた。
スネイプはギリッと唇を噛んだ。
ーーこの父親ーーキノの良心をいいことに揺さぶりをかけるとは、卑怯な奴だーー！
キノは父親を見て、それからベッドで眠らされている少女を見た。
葛藤しているのがわかる。
キノの中で、自分の身と少女の身を天秤にかけているのが伝わってきた。
しばらく悩んだのち、キノはギュッと手を握り締めた。
『………わ………私が……お父様以外の男の人と交わって……子を成します……』
「へえ？できるの？」
『や………やってみないことには……わかりません……』
「……」
ルイはじっとキノを見据える。
「お前には無理だ。交わるどころか、私以外の異性と会話すらしたことがないのにーー」
『それは……！ちょ、挑戦してみないことには……』
「………では、猶予を与える」
『猶予？』
「一週間以内に交われなければ、私はこの子以外の少女を沢山攫って伴侶にする。お前は伴侶達の身の回りの世話をすること。いいね？」
『世話！？何故？』
「ルルひとりでは追いつかない。それに、この血は特殊で特別なんだ。力を持って産まれてくる確率は相当低いからね」
『何人囲うおつもりですか！？』
「ざっと30人くらいかな」
『さ、30！？』
スッーーと、ルイがキノを見据えたまま指を差した。
「一週間だ」
『……』
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作者名：あっちゃん | 作成日時：2023年5月5日 9時
