第18話 ページ18
場面が切り替わり、今度は食事をする部屋から始まった。
広いダイニングテーブルで、ひとりぽつんと食事をしているキノがいた。
食が進んでいない。
どうやら、あの出来事があった次の日のようだ。
ポン！と音を立てて、屋敷しもべのルルが現れた。
「お嬢様……ご当主様がお呼びでございます」
『……！』
持っていたフォークがカタカタと、音を立てて震える。
それを見て、ルルが急いで言った。
「大丈夫でございます。お話だけでございますから！」
『……話？』
食事を切り上げ、キノは父親の部屋に向かった。
父親の部屋は、この屋敷の中で1番広い部屋だった。
飾りっ気のない殺風景な部屋。
入ってすぐ目についたのは、ベッドだった。
ベッドの周りには女性物の衣類が散乱していた。
『!?』
キノは大きく息を飲み、ガクガクと身体を震わせ、両手で口
を覆った。
『そーーその子はーー！？』
上半身裸のルイがベッドの縁に座っている。
ベッドには、女の子がスヤスヤと眠っていた。
14〜5歳くらいの少女で、キノとほぼ同い年に見えた。
眠る少女を、ルイは優しい手つきで頬を撫でている。
『ま……まさか……』
キノはふらりとよろめいた。
『う………そ………』
父親の行動の速さを目の当たりにして、キノは腰が引きそうになった。
「紹介するよ。この子は私の伴侶ーーカトリーヌって名前だから、今日から仲良くするんだよ」
『伴侶………？』
「外の世界で言うならね」
『……外の世界……』
瞬時に、理解した。
『こーー……この子は……外の世界から攫ってきたのですか！？』
「シーッ。起きてしまうじゃないか。もう少し寝かせてあげたいんだから、大きな声は控えておくれ」
ルイは人差し指を立てて言った。
『っーー何のために彼女を攫ってきたのです！？』
「何のためって……私の子を産ませるために決まっているじゃないか」
ルイは悪びれることなく平然と言った。
その言葉に、キノは大きなショックを受けた。
『子……子を産ませるために……彼女を無理矢理攫って……致したのですか……？』
「そうだよ」
キノは思わず後退りした。
『血の掟が……そんなに大事ですか！？』
「当然さ」
ルイはゆっくり立ち上がり、キノを見据えた。
「お前が拒絶したせいで、私は関係のない少女を見繕うしか選択がなくなってしまったんだ」
『私のせいじゃない！』
「いいや、お前のせいだよ」
『っ！』
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作者名：あっちゃん | 作成日時：2023年5月5日 9時
