第12話 ページ12
ーー………使命？……何それ……知らない……そんな使命……私は知らないっ！
『い、嫌です……』
自然と、言葉が出ていた。
「……お前は女として生まれた瞬間から、私の子を産み育てる運命と決まっていたんだよ」
ルイは慣れた手つきで、キノの肩から服をゆっくりとずらすように脱がし始めた。
細く白い綺麗な肩が露わになると、そこに口付けをした。
『ーーっっ！？』
ゾワッ！
全身に鳥肌が立った。
『おーーお父様やめてください！』
ルイの手がキノの小さな顎へと伸び、クイッと持ち上げて視線を重ね合わせた。
「キノ、お前はやっと子を成す身体になった。どんなに……どんなにーーこの時を待ったか……。私は今、嬉しさで胸がいっぱいだよ。ああ、キノ……愛しているよーー」
『!!!?』
キノの目が大きく見開き、固まった。
父親が、実の娘にキスをしたのだ。
だがそれは、ただのキスではなかった。
深く濃密な口づけ。
知らない、大人のキス。
無抵抗のため、拒絶することができなかった。
涙が、自然と溢れた。
父親の舌がキノの口内へと容赦なく侵入する。
そして、キノの舌を捉え、激しく絡ませた。
『んぅっ！？』
思わず目をギュッと瞑った。
涙が頬を伝っていく。
父親の舌の動きに逆らえないまま、色んな角度で舌を絡められ、気持ち悪さと不快感で吐き気がした。
『っーーんんっーー！』
ーー嫌だ…………嫌だ………嫌だ、嫌だっっ！！
父親は濃厚な口づけを楽しむと、やっと解放した。
美しい顔で娘に微笑みかけ、そっと、人差し指で涙を拭った。
しかし、次々に溢れ出す涙を見て、ルイは頭を傾げた。
「どうして泣いているんだい？お前は、私を愛していないのかい？」
『……あ……愛してるわ………』
「ならばどうして、涙を流しーー」
『それはお父様だからよ！』
キノは絶叫した。
『父親だからです！お父様だからーー私のーーたったひとりの家族だからよっ！！』
涙が止まらなかった。
ーー苦しい……胸が……痛い……！
「………」
何をどう捉えたのか、父親はにっこり微笑んだ。
「そうだよ！私とお前は家族。血を分けた親子。だからこそ、より強い血を持った子を作る必要があるんだ！！」
『っ！？』
「ああ、キノは初めてだから怖がるのも仕方がないよね。だから、この香を嗅いでもらったんだよ。これはね、実は夜伽用に使用するために調合された香なんだ。もうひとつ作用があるんだけど、わかるかい？」
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作者名：あっちゃん | 作成日時：2023年5月5日 9時
