第34話 ページ34
床に突っ伏し、ゴホッゴホッ！と勢いよく咳き込んだ。
ローズは固まったまま、キノを見下ろしている。
「……父さんと……母さん……もなの………？」
その問いかけにキノは無言で頷くと、ローズの目から涙がブワッと零れ落ちた。
ローズは力無く座り込むと、声をあげて泣き叫んだ。
「そんな！あんまりよ！！あたしが何したっていうの！！？」
『ご、ごめんなさいローズ！私ーー私のせいなの！！』
キノも涙を流し、突っ伏して泣くローズに謝った。
『私がーーお父様を拒絶したせいでーー全ては私が悪いの！』
「っーーあんたが原因なら、どうにかしなさいよ！！あたしをーーあたしを村に返して！！！」
『それはーー……』
「できないって言う訳！？」
『ーー……』
押し黙ったキノを見て、ローズが手を思いっ切り振り上げた。
『！』
バチンッッ！！
強烈なビンタだった。
目の前がチカチカし、血の味もした。
「ふざけないで！あんたが撒いた種でしょ！？あたしは関係ないじゃない！！人でなし！ルイって男はあんたの何よ！？兄なの！！？」
『ルーールイは……私の……父親なの……』
信じ難い発言に、ローズは一瞬止まった。
「………ハァ？父親？何言ってんの？？あんたと二〜三歳年が離れてるだけじゃない。まさか……この期に及んで嘘つく気！！？」
『嘘じゃないわ！あんな見た目をしているけど、本当に父親なの！！ウランバルト家の人間はーー他とは違うの。見た目は17、8歳に見えるけど、実年齢はもっと上でーー』
「何言って…………あんたの話はもう……信用できない！」
『ローズ！』
「気安く名前を呼ばないでって言ったでしょ！あんたなんかーーあんたなんかを親友だと思ったあたしがバカだったわ！最低！裏切り者！！」
ローズの言葉が、キノの胸を抉った。
涙が止めどなく流れた。
ローズの罵詈雑言を黙って聞くしかできなかった。
人を傷つけられるのは、こんなにも簡単なのだと初めて知った。
魔法や物理攻撃よりも、言葉の攻撃が何よりも効いた。
胸に突き刺さったローズの言葉が何よりも大きかった。
頬を強く叩かれた痛みじゃない。
髪を鷲掴みにされた痛みなんかじゃない。
ローズの言葉が1番堪えた。
涙のせいで目の前が霞む。
ーー………お願い………もう………やめて………。
それでも、ローズは止まらなかった。
「あんたを一生赦さない！この、卑怯者！！あんたはもう友達じゃない！あたしのーー敵よ！！！」
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作者名：あっちゃん | 作成日時：2023年5月5日 9時
