第4話 ページ4
『お父様！』
幼いキノが美しい青年に向かって嬉しそうに立ち上がった。
「！」
ーーやはりそうか……！
どう見ても若過ぎる十代の青年に対して、お父様と言ったことに少々驚いたものの、大昔であればなんら不思議ではないと、スネイプは妙に納得した。
幼いキノがスネイプに見向きすることなく、若い父親の元へ駆け寄り、思いっ切りジャンプして抱き着いた。
若い父親が愛おしそうにキノを抱き締めると、幼いキノが笑い声をあげた。
なんとも微笑ましい姿。
『お父様に作ったの！』
「ありがとう、キノ」
父親は爽やかな声でニコッと微笑み、キノを持ち上げた。
キノが花冠を父親の頭に乗せ、ニコニコ笑った。
「似合うかい？」
『お父様素敵よ！』
「ありがとう、キノ。愛しているよ」
『わたしも愛してるっ！』
なんてことはないーーごくごく普通の親子だった。
ただ、服装は現代的ではなく、中世よりもさらに昔の服装のせいで嫌でも時代を感じさせられた。
ブラベウスが指を鳴らした。
目の前がグルリと回る。
今度は、部屋の中になっていた。
スネイプの目の前には十歳ぐらいのキノがいた。
先程の青年とキノが対面する形で向かい合うように座っている。
キノは成長しているのに対して、父親は一切変わらないままだ。
若く美しいまま、年期を感じさせない父親がキノに何かを教えていた。
勉強を教えているのだろう、キノは真剣に父親の話を聞いている。
『お父様、創造主様は何故魔法界をお造りになられたのですか？』
「創造主様はね、憐れんだのだよ。魔力を持った人間にね。どういうふうに力を使えばいいかわからない人間達ばかりで、つまらないと思ったからだよ」
『それだけの理由で？』
「そうだよ」
父親は苦笑した。
『ではどうして、魔力を持たない人間と魔力を持った人間がいるのでしょう？』
「……なんでだろうね。私にもわからないが……創造主様は神の怒りを買ったからだと私の父が言っていたよ」
『神の怒り？』
キノが小首を傾げた。
『どうして神様の怒りを買ったのです？』
「……創造主様はね、神と人間が交わって産まれたお人だからだよ」
『神と人間が？？』
「だから、神様が怒ってその神と人間を罰したんだよ」
空想のような真実味のない話に、キノはポカンとなった。
『それで人間が魔力を持ってる持ってないで分かれてしまったの？』
「そうだよ」
『ふう〜ん』
どうやら、お伽話と思っているようだ。
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作者名：あっちゃん | 作成日時：2023年5月5日 9時
