ヘリオトロープの花束を抱え (ページ3)

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ヘリオトロープの花束を抱え　1 ページ3

夢をみた。

炎色(えんしょく)の薔薇の庭園で5つのシルエットが茶会を開いている。

私はそこでヴァイオリンの音の流れに意識を委ねていた。

腕元から溢れ、風にまぎれ消えていく五線の譜と小さく増殖する音が五人の超越者の髪を、ふわり、と撫でていく。

桃色の芸術家と神秘のセルリアンブルーの論争は、何やらおかしな方向に傾いて行っているようだ。

華々しく笑う仮面の道化師の横で石榴色の少年が話についていこうと、机にかじりつかん勢いで、高尚な言葉遊びに参加している。

ただ唯一、この茶会の主人、sableの魔王はこの状況を俯瞰することに努めているらしい。

ふと、魔王の紅眼と目があった。

軽く会釈をする。

ヒョイと魔王が白磁のティーカップを掲げたところで

バリバリバリバリバリバリバリバリバリ、
バリンッ！！

転調

誰かが机上のシルクの布をまるでテーブルクロスの要領で引き抜いたあとだった。

色とりどりの破片が空中でワルツを踊る。

『起きろ。

自分の名前と自分の使命を言いなさい。

自分が誰の物なのか口に出しなさい。

そして、

それ以外喋るな。』

悪戯に成功した子供のように無邪気な、純粋無垢な笑みを浮かべる、

金糸雀の光を讃えた人物は、

赤インクに塗れた、物語の主役たちの骸の上に
悠然と立っていた。

「ー私の、

名前、

名前は、、、

“天祥院日逢“

私の使命は、

英智様の覇道の障害を取り除くこと、

、、、五奇人を殺すこと。

そして、私は永久に天祥院英智様の所有物(もの)」

甘やかな戦争の残りがが鼻をついたところで

夢は終わった。

「おはようございます」