とある看守長のカオスな日々

その２６　被害者再び　　by結菜 ページ32

蒼のそこそこ荒い運転の車で刑務所まで優雅に出勤なのだ〜

しかし、何度も木とかブラックホールにぶつかりかけているのだ〜

明星刑務所の搬入口に近づくと、自動で門が開いたのだ〜

でも、私達が乗っている車は空を飛んだから、開く必要はなかったのだ〜

着地の衝撃で蒼は気絶しているのだ〜居眠り運転なのだ〜

なんかもう、色々と壊滅的にカオスなのだ〜


「Chaos maker！」

駆けつけた咲紗さんが呪文を唱えてくれたらしい。

車がやっと止まった。

『事故になるかと思った……。蒼、運転荒すぎでしょ。』

「大丈夫だった？私、心配したんだよ。」

社長の声が聞こえる。しかし、社長本人の姿は見えない。

「社長、どこ？」

異変に気付き、椿もキョロキョロしはじめる。

「朝食に、透明化の暗黒物質が混入していたんだ。結菜の仕業かな？」

再び、社長の声が聞こえる。

服ごと透明化するとは……。仕組みがよくわからない。

「フフフ。これで囚人共を怖がらせちゃおう！」

社長ったらまた素晴らしい事を考えているようだ。

残念だが、君には透明になっている状態を活かして別の雑用を色々とやってもらいたいんだ。

例えば「刑務作業をサボっている囚人をこっそり脅す」とか。


＊＊＊


それにしても人手が足りない！

現在、囚人に姿を見られる作業をできるのは、私、かぐや、椿、楓、美雪、華恋、燈野、佑の8人。

咲紗さんは囚人の前に出ることを拒んでいるのでカウントしない。

8人、と聞くと一見多いように思えるが実は案外少ないのである。

各房、懲罰房の担当で4人、自由広場や食堂、風呂の見張りで＋4人。これで8人だ。

医務室当番がいないじゃないか！

結翔を召喚したいところだが、生憎彼は精神がお亡くなりになっている。

仕方ない。咲紗さんにも囚人の前に出る作業をやってもらおう。

とりま、自由広場と食堂の見張り係でいいかな。

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