第19話裏:今更何を言ってるンだか。 ページ44
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声が出なかった。
原作通りの言葉を投げかけられたら、それを受け止める準備はできていたのに。
実験をやりたくなかった訳じゃない。超能力者のその先に行きたかった。それだって別に、誰も傷付けたくないという思いからじゃない。一〇〇三一号までの妹達と会話を必要以上に試みなかったのだって、彼女達に「これ以上戦いたくない」と言ってほしい気持ちがどこにも無かったから。
原作に無い行動をしたイレギュラーな私を見て、打ち止めは言葉を紡ぎ出してきた。
それが意味するのは――
「あ、はは」
聞き覚えのある台詞にハッとして目を開ける。そこには、この時間に起こる事態が当然の様に起きていた。
こうなる前に、研究者とコンタクトを取りたかったと。
未完成の状態だから、外に出てはいけなかったのだと。
今まで騙し騙しやってきたから大丈夫だと思っていたと。
熱にでも魘されているみたいに、顔を紅潮させゆったりと話す検体番号二〇〇〇一。
彼女は知っているだろうか。
研究者を無意識に避けていた自分の事。
外に放り出された原因の事。
今日この時にこうなる事が分かっていた存在がいる事。
更に恨まれるかもしれない。どうして今まで何も言ってくれなかったんだって。どうしてもっと早く、昨日の内に手を打ってくれなかったんだって。知っていた癖に。分かっていた癖に。
「あれ、どっか行っちゃうの、ってミサカはミサカは尋ねてみる。まだご飯余っているのに」
だったらどうだと言うのだろうか。打ち止めに恨まれているのは今に始まった事ではない。最初から、妹達には恨まれているのだから。今更気にする事でもないだろう。
ありとあらゆるベクトルの操作を可能とする能力は、今この段階では何も出来ない。彼女の人格データを覚えている訳でもないし、ウイルスコードを一つ一つ不正に処理出来る訳でもない。それでも、『一方通行』は働いてくれる。この混乱し切った脳味噌に、限りなく正解に近い答えを叩き込んでくれる。
「食欲失せたからなァ」
そっか、と残念そうな声が聞こえた。あれだけ楽しみにしていたのだから、実際残念なのだろう。
「ごちそうさまっていうのも言ってみたかった、ってミサカはミサカはため息をついてみる」
伝票を掴んで席を離れる。彼女も連れていけばいいのに、と思ったが振り払った。下手に原作を弄るのが怖くなったのだろう。天井を野放しにしてしまう可能性が怖くなったに違いない。
「今更原作変更に怖気付いたのかよ」と、嘲笑う声が聞こえた。
第20話:とある一方通行の奇行(1)→←第19話:とある一方通行の認識事情
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ムスカ(ﾊﾞﾙｽしないで)(プロフ) - 凄い面白いです！！原作に近いのに原作とは違うイレギュラー(一方通行ちゃん)の続きが気になります…!!応援してます！ (2017年7月20日 2時) (携帯から) (
レス) id: 73140b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - Σ(ﾟДﾟ)ｽｹﾞｪ!!面白かったです！頑張ってください (2017年5月17日 15時) (レス) id: 8490ef35d5 (このIDを非表示/違反報告)
ガルシア - 頑張ってください！ (2017年5月5日 16時) (レス) id: 980d9fadba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菊桜 | 作成日時：2017年4月27日 19時
