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第19話:とある一方通行の認識事情 ページ43

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　一方通行の思考は一瞬だけ、凍り付く必要も無いのに凍り付いた。
　返答の仕方は簡単だ。「立つ鳥跡を濁さず」の通り、自分が散らかした現場を片付けただけ。そう返せば済む話なのに、一方通行はその結論を放棄した。そんな返答をすれば、打ち止めは必ずこう言うだろう。「あなたがしなくてもミサカ達がする」と。そうなってしまっては、もう一方通行に反論の余地は無い。自分でも分からないのだ。あの日の、痕跡を残さないという誓い。自分で行う必要が無いとしても、何故か自分の手で「妹達だったモノ」を片付け続けた。一種の拘りか、ただの気まぐれか、それとも――「ミサカは」と打ち止め(ラストオーダー)が喋り出す。
「こう考えてみる。あなたは『実験』を行いたくなかった訳じゃない。そういう訳じゃないけど、あなたは『妹達』を殺すことに少なからず抵抗と罪悪感を抱いていた。それは、あなたが自分では感じ取ることのできない、AIM拡散力場の様な無意識下での感情。だからあなたはミサカ達を片付けてくれた。最後まで、ミサカ達を認識してくれた」
　だから、と続く打ち止め(ラストオーダー)の言葉を、一方通行が遮った。
「大層な屁理屈と美化だなァ。実験は望んで参加したし、『掃除』っつってる時点で実験後の妹達なンざ無機物扱いだろうが」
　打ち止め(ラストオーダー)は、一方通行から目を逸らさない。一方通行がどれだけ否定しようが、何度でもそれを否定する気でいた。
「片付けなんて他の『妹達(シスターズ)』がやってくれる。それは何度か一緒に実験場の後始末をした際に知れているはず。でも、あなたは一度も『妹達(シスターズ)』に任せなかった。まるで、自分が行うことに意味があるんだって言ってるみたいに。これは終わった可能性だけど、もしミサカ達が『もう戦いたくない』って告げていたら、あなたは迷わずその手を引いた？ それとも、迷わずその手を振るい続けた？」
　仮に「妹達(シスターズ)」がそう言ってきたら、どうしていたか。彼女にとって、人間の定義は簡単だ。「原作に存在し、何らかの出番を貰っていること」。だからこそ、心の奥底、無意識下ではこう思っていたのだ。「原作に『存在していた』二万体の妹達は人間だ」と。
　そう思ってしまうなら、彼女は妹達(シスターズ)を殺せない。実験を持ちかけてきた研究所を全て粉砕してしまうだろう。だから思わないようにしていた。自分でも気付かない奥底に封じ込めていた。
　それが今日、掘り起こされただけの話。
　ただ、それだけの話。

第19話裏:今更何を言ってるンだか。→←第18話裏:原作に無い展開とか心臓に悪い。



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ムスカ(ﾊﾞﾙｽしないで)(プロフ) - 凄い面白いです！！原作に近いのに原作とは違うイレギュラー(一方通行ちゃん)の続きが気になります…!!応援してます！ (2017年7月20日 2時) (携帯から) (レス) id: 73140b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
 蒼(プロフ) - Σ(ﾟДﾟ)ｽｹﾞｪ!!面白かったです！頑張ってください (2017年5月17日 15時) (レス) id: 8490ef35d5 (このIDを非表示/違反報告)
 ガルシア - 頑張ってください！ (2017年5月5日 16時) (レス) id: 980d9fadba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名：菊桜 | 作成日時：2017年4月27日 19時

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