第15話:会合 ページ35
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一方通行は施行に没頭すると周りが見えなくなるタイプだった。それは能力による身の安全が確保されているからである。肩をぶつけようが相手の行く手を阻もうが、それでどんな因縁を付けられようと全て反射してしまえるのだ。だから一方通行は思考の海に身を投げる事を躊躇しない。かと言って脳の全てが思考に向かうなどあり得ないので、今もこうして歩行している訳だ。
「――――!! ――――!? ……――!!」
そしてそれは案外使い勝手の悪いものであり、音を反射している訳でもないのに一方通行に声が届かなくなる。これを知ったスキルアウトが車で突っ込んだが、車が鉄クズに変わるだけだった。
「あァ？」
ふと一方通行は気付いた。自分の後ろに、何者かがぴったりとくっ付きながら何かを叫んでいると。一方通行は微かに目を見開く。そもそも八月三十一日の深夜に彼女がわざわざ出歩いていたのは、この展開に――この少女に遭遇するためである、そして一方通行は、初めてその声を拾った。
「――いやーなんというかここまで完全完璧無反応だとむしろ清々しいというかでも悪意を持って無視しているにしては歩いているペースとか普通っぽいしこれはもしかして究極の天然さんなのかなーってミサカはミサカは首を傾げてみたり」
手を伸ばせば届く距離に少女はいる。
一方通行は「これはアレだな。この世界に居る神様とやらはよっぽど几帳面な奴だわ」と独り言を呟き、首をゴキゴキと鳴らして歩を進めた。
「ブツクサ言ってる間にどんどん距離が開いていくんだけどミサカの事は見えていない妖精さん扱いなのほらミサカはここにいるよーってミサカはミサカは事故の存在を激しくアピールしているのに存在全否定？」
どこか平淡な声の訴えを背に、一方通行は寮に向かう足を止めない。置いてきぼりをくらった少女はさらに慌てた声で
「おーい、だからミサカはミサカはここにいるんだって――あれ、ひょっとしてなかった事にされてる？ ってミサカはミサカはミサカの首をミサカらしく傾げて……む？ 今、何回ミサカって言ったっけ、ってミサカはミサカは思考の泥沼にはまってみる」
と結局最初の目的を見失った。
「あー分かった分かった。分かったから深夜にミサカミサカ連呼すンな」
ようやく自分の存在が認められた少女は小走りで一方通行の隣に立ち、「おおっ、ようやくミサカの存在が認められたよわーい、ってミサカはミサカは自画自賛してみたり」と嬉しそうな声を挙げた。
しかし、それでも声はどこか平淡だった。
第15話裏:内心大歓喜ですが何か。→←第14話裏:医学の力ってスゲー。
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ムスカ(ﾊﾞﾙｽしないで)(プロフ) - 凄い面白いです！！原作に近いのに原作とは違うイレギュラー(一方通行ちゃん)の続きが気になります…!!応援してます！ (2017年7月20日 2時) (携帯から) (
レス) id: 73140b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - Σ(ﾟДﾟ)ｽｹﾞｪ!!面白かったです！頑張ってください (2017年5月17日 15時) (レス) id: 8490ef35d5 (このIDを非表示/違反報告)
ガルシア - 頑張ってください！ (2017年5月5日 16時) (レス) id: 980d9fadba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菊桜 | 作成日時：2017年4月27日 19時
