第9話:第一〇〇三二次実験 ページ24
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開始した。
実験は間違いなく開始したはずだった。
「……？」
一方通行が微動だにしない。
これまでの実験では、開始と共に一方通行が動いていた。
それは暴風の様に荒々しい時もあれば、清流の様に静かな時もある。
風の強い日には、かまいたちが嵐の様に暴れ回った事もある。
各実験のシナリオに対応しながら、一方通行は目標を確実に破壊していた。
その一方通行が、動かない。
開始地点から、一歩も動かない。
この実験を放棄していると錯覚してしまう程。
この実験に意味を見出だしていないと思ってしまう程。
一方通行は、動かなかった。
「……」
一〇〇三二号は前例の無い行動に驚きながらも、「『反射』を適応出来ない場合」を作り出そうとした。
「……！」
作り出そうとした瞬間、一〇〇三二号の背に悪寒が走った。
一方通行の唇が三日月に歪められ、小さな声で紡がれた言葉が耳に届いたからだ。
一方通行は一瞬身を低くし、弾丸の様なスピードで一〇〇三二号との距離を詰める。
一〇〇三二号は「反射を適応出来ない場合」を用意する前に、宙を舞った。
「ああそうだね。そうだ」
一方通行が、自己暗示みたいにブツブツと呟く。
しかしその表情は、ずっと悩んでいた問題の答えにようやく辿り着いた様な笑顔だった。
「そうだなぁ。うん、これでいい」
妹達の知る一方通行……いや、一方通行を知る者は口を揃えて言うだろう。
「自分の知っている一方通行ではない」と。
独特なイントネーションが消え、
一方通行となった少女が、珍しく自分の感情を剥き出しにしていた。
そして、原作と同じ「実験」が開始した。
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ムスカ(ﾊﾞﾙｽしないで)(プロフ) - 凄い面白いです！！原作に近いのに原作とは違うイレギュラー(一方通行ちゃん)の続きが気になります…!!応援してます！ (2017年7月20日 2時) (携帯から) (
レス) id: 73140b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - Σ(ﾟДﾟ)ｽｹﾞｪ!!面白かったです！頑張ってください (2017年5月17日 15時) (レス) id: 8490ef35d5 (このIDを非表示/違反報告)
ガルシア - 頑張ってください！ (2017年5月5日 16時) (レス) id: 980d9fadba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菊桜 | 作成日時：2017年4月27日 19時
