第6話:二つの顔(2) ページ19
.
計画を持ちかけた時には二つ返事で了承したが、培養機内の彼女達を見た瞬間に
「磨りガラスにしろよクソ研究者共!!」
と謎の紳士ぶりを披露し、下着を決める際に研究者達が「オリジナルに近付ける為にお嬢様らしくレースの付いた……」と妄想を膨らませている最中、
「ゲコ太無視して御坂美琴を語ってンじゃねえぞテメェ舐めてんのか三下ァ!!」
と謎の罵声を飛ばし、上位個体の肉体については
「十歳前後のアホ毛ロリで頼む」
とこれ以上無いぐらいの真剣な顔で頼み込んできた。
残虐なのか無邪気なのか。一方通行の二面性について、芳川はある仮説を立ててみた。「子供の持つ無邪気な残酷さを維持している」と。蟻を躊躇無く踏む様に、蟻の巣を遊びで埋める様に。「その行動が生命を奪っている」と自覚しない子供の価値観を保ったまま、一方通行は成長してしまったのだとしたら。
彼女に道徳心を説かなかった、自分達大人の責任だ。
芳川はそんな考えに辿り着き、そこで終わった。
だからって、今更自分に何が出来るのだろか。
そんな考えを抱えていたから、そこで終わったのだ。
一方通行は道を歩いていた。
つい先程行われた第一〇〇二〇次実験を思い出しながら、歩いていた。
「ン？」
路地裏から出た一方通行目に、浮かない顔で歩いている一〇〇三一号が映る。勿論、一方通行はそれを一〇〇三一号だと認識していない。数ある個体の中の、一体なのだと。
「人間染みた顔して何やってンですかァ？」
話しかけられた一〇〇三一号は、「胸部に痛みが走るため、研究所で検査してもらいます」と返答した。
「そォかよ。大した答えは望むなよ。レントゲンにゃ写らねえ代物だ」
「痛みの正体を知っているのですか？ とミサカは手がかりに食い付きます」
一方通行は面倒臭そうな顔をした後、「今の妹達には納得出来ないだろうな」とだけ告げてその場を離れようとする。
「
一〇〇三一号は訂正を入れた。
一方通行は聞かなかった。
第6話裏:許さんぞ第一〇〇二〇次実験→←第6話:二つの顔(1)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「成り代わり」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ムスカ(ﾊﾞﾙｽしないで)(プロフ) - 凄い面白いです！！原作に近いのに原作とは違うイレギュラー(一方通行ちゃん)の続きが気になります…!!応援してます！ (2017年7月20日 2時) (携帯から) (
レス) id: 73140b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - Σ(ﾟДﾟ)ｽｹﾞｪ!!面白かったです！頑張ってください (2017年5月17日 15時) (レス) id: 8490ef35d5 (このIDを非表示/違反報告)
ガルシア - 頑張ってください！ (2017年5月5日 16時) (レス) id: 980d9fadba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：菊桜 | 作成日時：2017年4月27日 19時
