とりあえず、ゲロ（レベルヒロ）インに中指立ててみた。【青葉城西】

３１話っていうか理不尽 ページ31

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「ねぇAちゃん！！」
『名前呼び許可してないよ』

間髪入れずに放った言葉にクラスの人は肩を震わせる。

「ッ…鶴永さん！！」

泣かずに苗字呼びに変えたことは良い判断だったと思うよ。

でもね、

「なんで今日の朝練」




「来なかったの？！」

この言葉じゃマイナスだよね。

昨日、私の言葉の何を聞いていたの？

まず及川は私について仮入部だと言ったし、口論のあと、入らないし入りたくないと言ったはずだ。

しかも、私は朝練についての指示を受けていない。
なのに何故怒られなくてはならないのか？

答えは簡単。

廣宮は自分の言うことが正しいと信じて疑わないからだ。

気に食わない。
全くもって気に食わない。

昔の私を思い出すようで、虫唾が走る。


「これからマネージャーになるんでしょ？！時間とかちゃんと確認して、皆より早く来て挨拶するべきだよ！」


時間を確認、とか、みんなより早く、とか。

そもそも時間を教わってないわけだし、入部するつもりないし。

そもそもそれを喚き散らすことになんの意味があるの？

勝手な正義感振りかざして、ヒーローにでもなったつもり？

それとも先輩マネージャーとして？

きっとこれを聞いたところで答えは後者だと思うけれど、無自覚で前者になっていること、気付かないのだろうか。

いや、ヒーローではなく、正しくはヒロイン、か。

そして恐らくは、
悲劇のヒロイン。
泣けば誰かが助けてくれるヒロイン。
ドジをしても笑って許されるヒロイン。
喧嘩になった時、過半数が味方に着いてくれるヒロイン。

肩身が狭くなるのはきっと私の方。

私は悪くないのに、なんで私が責められるの？

あぁ、ダメだ。こんな思考。
昔のあの思考が、少し残っているのだろうか。


とにかくイライラが溜まって言いたいことは沢山あるはずなのに、どう声に出せばいいのかわからなくて。


無駄なヒーローごっこはやめろ？
私は入部しないんだけど勘違いやめて？？
泣けば済むと思うな？？

どうしよう、上手く文章を作れない。


どうすれば良いのか分からなくなった私はとりあえず、気分を落ち着かせるために、相手に中指を立てた。


要するに『ふぁっきゅ』。
良い子のみんなは真似しないでね！！

小学生の従兄弟のクラスで流行ってるらしいね。ムカつくととりあえず中指ってね。


とか言ってる内に…？

「鶴永さんが悪いんじゃない…！なんで私が…ッ！！」

「ぐすっ、うぅ…ッ」

泣いちゃったよコイツｩ…


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