揺らぐ陽炎。[黒尾鉄朗]

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ローソンのスパゲッティとデザートのふわふわとろとろプリンをぺろりと平らげた私は、
食後のお茶もそこそこにして参考書を開いた。

黒尾さんはご飯を食べてすっかりやる気が無くなってしまったらしく、我が家のアイドル、猫のたまさんを先程からずっと撫で続けている。

たまさんはクールなおばあちゃん猫だけれど、黒尾さんに撫でられているとまるで10才くらい若返って見えるし、すごく甘えん坊になっている。

数学を教えてもらう、といっても今のところ悩むような問題には会っていない。

実を言うと、数学は得意教科なのである。



「う”ー…ん…」

思わず唸るような声が出た。
あれから10分ほど経っているけど黒尾さんはいまだにたまさんを撫でている。

うんうん唸っていても埒が明かない。
きっとここが黒尾さんの腕の見せどころなのだ。

「黒尾さんちょっとー」
「やっとかよ」
「ごめんごめん、でもずっとたまさん撫でてたじゃん」
「いやーまじ可愛いな、貰ってってもいい？」
「だめです、絶対だめ。」


「じゃあ毎日会いにきていい？」
「……いいよ、いいけど。その代わり、勉強教えてね。」
「おう！言われなくてもばっちりしっかり教えてあげるゾ☆」




「きも」

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