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「A、A！」
意識がはっきりしないまま、私は頬をぺちぺちと叩かれた。
「んん、なに…どしたん、黒尾さん。」
黒尾さんが私を覗きこむ。
「大丈夫か、すっげーうなされてたぞ。」
「あ、そう…？そっか、ごめんごめん。」
「謝るなよ、これから渋滞続くみたいだぞ。
それもすごいのな、結構時間かかるかもな…」
「そっか、でもいいよ。……帰りたくないから。」
「……は、」
「いや、なんでもない。」
「どうしたんだよ、汗も凄いし…鬼にでも追っかけられたか？」
「追っかけられてませーん」
「悪い、夢を見てたんだろ。」
「…まぁね。すごく、悪い夢だった。」
「俺もあるなー…父さんと母さんの喧嘩とかまだ覚えてるもん、」
「仕方ないよね、もう焼きついちゃってんだもの。」
きっと、消えることなどない。
これから10年20年、30年経っても、結婚しても、消えることなんかない。
ふとした瞬間、私を襲うだろう。
そんなもの忘れること出来るだろうって思う人もいると思うけれど、実際私は、忘れることが出来ない。
過去にずっと、囚われているんだ。
「だぁーっ、渋滞どうにかなんねぇのかよー！」
「どれくらいなってんの？」
「まぁ、一時間くらいだな。ずーっとのろのろだ。
玉突き事故があったんだってよ、それも結構な数。」
「へぇー、だからこんなに…」
「じゃあ何かゲームでもすっかぁ？」
「しない、てか運転手！しっかりしてよ。」
「そうでしたー」
「暇だー」
暇だ。
「…お前、最近親父さんと上手くいってないんだろ？」
どれくらいか、沈黙が続いた。
それを破ったのは黒尾さんだった。
「…うん、そう。
元々、仲良いって訳でもなかったんだけど…
ゴールデンウィーク前の三者面談で揉めちゃって、そっからは口もきかなくなっちゃった。」
「だから帰りたくない、なんて言ったんだろ。」
「…うん。」
「自分一人で生きていける訳じゃないから、あれこれ反論出来ないんだけどさ。
父さん、まだ反対してるの。
お前はもっと良いところに行けるって、俺に楽させてくれって。
……つらい、つらいよ。
早く大人になりたい、なって一人で生きていけるようになりたい。
あの人に頼ることなんてせず。」
いつしか、家に帰りたくないと思うようになった。
学校にも、居場所はないというのに。
家のドアを開けて、父の靴がないことにひどく安心している自分がいることに気づいた。
距離が、どんどん開いていっているのがわかった。
父もお酒をたくさん飲むようになった。
昔は、お酒なんて一滴も飲まなかったのに。
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立花 - 腫れ物じゃなくて、このシチュなら壊れ物じゃないの (2020年3月16日 6時) (
レス) id: 9b35e00014 (このIDを非表示/違反報告)
＠でに(プロフ) - いつの間にか6500hit突破…ありがとうございます!というかアニメ4期の告知的なPV見ましたか!?ホントに宮侑くん顔が良すぎる……口角が上がりすぎて無事どっかに飛んでいきました。 (2019年12月27日 0時) (レス) id: 4e6a48575b (このIDを非表示/違反報告)
＠でに(プロフ) - 5000hitありがとうございます。 (2019年10月20日 19時) (レス) id: 4e6a48575b (このIDを非表示/違反報告)
＠でに(プロフ) - 順位更新ありがとうございます。 (2019年7月11日 19時) (レス) id: 4e6a48575b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＠でに | 作成日時：2019年4月5日 0時
