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Aがそこ迄言うとぬらりひょんがAを抱きしめた。
「そう言う未来を見たのは初めてか?」
『リクオ君のお父さんの時以来です。』
「そうか。鯉伴、狒々を此処に呼べ。」
「あぁ、分かった。」
「お祖父ちゃん?」
「リクオ、この話はワシら以外に話すなよ。」
「えっ……うん、分かったよ。」
ぬらりひょんは牛鬼の方を見て牛鬼も頷いた。
「(今のAは話せる相手が家族以外に居らん筈じゃ。そして狒々は妖怪。自分の知り合いでは無いから困っておったのじゃろう。)狒々が来たら何を渡すんじゃ?」
『これです。』
ぬらりひょんにブレスレットを見せた。
「此れを狒々に?」
『私の治癒力を込めてあります。』
「そんな事が出来るのか?」
『はい。お祖母ちゃんに教えてもらったんです。』
Aはお祖母ちゃんに治癒の力を教えて貰った事を思い出し、話していた。
家の廊下を走って来る足音が二つ聞こえていた。
「おっ、来たみたいじゃのう。」
『そうみたいですね。』
「そのようですね。」
「そうなの?」
開いている障子から姿を現したのは狒々と鯉伴だった。
「親父!連れて来たぞ。」
「大将!なんの様じゃ!?」
「ワシじゃねぇ。」
ぬらりひょんは狒々の前にAを押した。
「!!こりゃあ驚いた。奥方にそっくりの女子じゃ!何処で見つけた?大将。」
「秘密じゃ。」
「其れよりワシに用があるんじゃろう。何の用じゃ?」
『よ、用があるのは私です。』
Aはぬらりひょんと狒々の会話に割り込んだ。
「ほう、小娘が。何の用じゃ?」
『此れを受け取って貰いたくて。』
Aがブレスレットを見せると狒々は嫌そうな顔をした。
「そんな物ワシは要らん。」
『此れには私の治癒力が込めてあります。これを持っていてほしいんです。』
「ワシを誰だと思って居る。大妖怪、狒々様じゃぞ。」
狒々はAに顔を近付けた。
『そんな事関係ありません。このままでは最悪の未来が訪れるからそれを回避する為にこれが必要なんです。受け取って下さい!!』
Aは怖がる様子もなくしっかりと狒々と向き合い言い切った。
「!!(この娘、本当に奥方に似ておる。これを受け取らんかったらずっと言って来るやもしれん。それは面倒じゃ。)………分かった、受け取ろう。」
『!!よかった。手首に着けて下さい。』
狒々はAの言われた通り手首にブレスレットを付けた。
「此れだけならワシはもう帰るぞ。」
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作者名:彩夏 | 作成日時:2023年8月27日 23時