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「毎日暖炉に薪をくべるだけで寒さや食糧の心配をしなくて済む……一石二鳥じゃありませんか。何という好条件！」
「確かに、今までの無茶ぶりに比べれば超楽チンな気がするんだゾ！」
「そうでしょう？こう見えて私、とても優しいので。ああ、そうそう。私が長期不在にするのでこれを君達に渡しておこうと思ったんです。」
学園長が一つのスマホを渡してきた。
「あ、スマホじゃん。」
「一つだけ？」
「何か緊急の用事があればこのスマホで私に連絡してください。こちらはあくまで緊急連絡手段です。マジカメ巡りなどに没頭して通信制限を受けたりしない様に。さて、私は生徒達をご実家へ転送する仕事がありますので。後は任せましたよ、三人とも。そうだ、出かける前に南の国の観光パンフレットもチェックしておかないと。ああ忙しい忙しい……。」
「にゃっはー！これでホリデーはご馳走がたんまり食えるんだゾ！」
「な〜んか体良く丸め込まれた気がすんな……ま、お前らが良いならいいけどさー。」
『ユウが持ってて。私はいいから。』
「うん。わかった。」
「はいはーい！そこの君達。道のど真ん中に突っ立ってないで、どいたどいた！」
ラギーが大きい荷物を持ってやってきた。
「ブッチ先輩……って、なんですかその大荷物！？バックパックにボストンバック三つ、さらにデカいクーラーボックスまで。」
「これッスか？シシシッ、大食堂と購買部の賞味期限切れそうな食材、全部貰って来たんスよ。長期休暇に入るから、毎回ただ同然でくれるんス。」
「えぇ？でも、そんなに食いきれないでしょ。」
「なーに言ってんスか。これっぽっちの量、近所の悪ガキどもに食わせたらあっちゅー間に無くなるッスよ。ばあちゃんにもホリデーくらい腹一杯食わせてやらなきゃ。おっと、冷凍食品が解けちまう。んじゃ、また来年ッスー！」
ラギーは闇の鏡を潜って行った。
「行ってしまった……。それにしても、近所の悪ガキども……って？」
「ラギー先輩の地元は、貧しい暮らしをしている家庭が多いらしい。だから長期休暇の度にたくさん食べ物を持って帰って近所の子供にも食わせてやってるんだと。」
「ジャック……お前もなんで両手いっぱいに植木鉢抱えてんの？植木屋でも始める気？」
「これは趣味で育ててるサボテンだ。休暇中に水やりしなかったら枯れちまうだろうが。……って、お、俺の事はいいんだよ！」
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作者名：彩夏 | 作成日時：2023年3月29日 22時
