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「そ、それは！」
レオナの手の上には金庫の鍵があった。
「やっぱりビンゴか。」
「返しなさい。窃盗は重大な犯罪ですよ！」
「はっ。親切で届けに来てやったってのに泥棒扱いかよ。いいぜ、返してやるよ。ほら。」
「……ほっ。」
「俺の用事はそれだけだ。じゃあな。」
「け、契約書……！契約書は！？！！！！！！！！…………無い。無い、無い、無い！！！契約書が何処にもない！！あの野郎、まさかっ……！？」
アズールside終了
レオナside
「シシシッ！上手く持ち出せましたね。」
「フン、お前の手癖の悪さには恐れ入るな。」
「絶対取られたくないなら、ポケットにもしっかり鍵をかけとかなきゃ。にしても、この契約書の量凄いッスね。5、600枚はありそう。」
「フン。この学園に入るずっと前から悪徳契約を繰り返してコツコツ溜め込んでたんだろうぜ。これで契約書はVIPルームの外に持ち出せた。後は……『俺こそが飢え、俺こそが乾き。お前から明日を奪うもの――』」
「待ちなさい！！」
「…………おっと、もうお出ましか。それ以上こっちに近付くなよ。契約書がどうなっても知らないぜ。」
「か、返してください……それを返してください！」
「おいおい、少しは取り繕えよ。おすましごっこはもうやめたのか？その慌てぶりを見るに、アイツらの予想は当たってたらしいな。」
「なん……だって？」
時間を遡り
「つまり、金庫に保管されている時なら、契約書は敗れる状態じゃねぇかって言いたいんだな？」
「……ん？んんん？どういう事なんだゾ？」
「あっ、言われてみれば確かに。ちょっとおかしいッスね。アズール君たちの言う通り、契約書は触れると電流が流れたりして絶対に破けないって言うなら……厳重に金庫に入れて守る必要、無くないッスか？その辺においときゃ良いッスよね。レオナさんの財布みたいに。」
「ハッ！金庫と言えば……。あいつ、金庫にちょっと傷が付いただけで滅茶苦茶怒ってたんだゾ。」
「なるほどねー。大事なもんは金庫にしまうのが常識だから。疑問にすら思ってなかったッス。庶民感覚ゼロの王子様行動もたまに早く立つんスね〜。」
「チッ、いちいち一言多いんだよテメェは。」
「……となると、契約書から電流が流れるってのもお得意のハッタリかもッスね。」
「にゃに〜〜〜！？」
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作者名：彩夏 | 作成日時：2023年3月13日 2時
