百四十三話:夢 ページ18
Aside
夢を見た
それはとても綺麗で穏やかで__
私がずっと望んでいるものだ
子供の頃、家族と一緒に住んでいた家に
私は居た
もう帰ることの出来ない家に
何度も何度も夢で帰った
その度に私は泣いた
夢でしか、家に帰ることが出来ない
家族は居ない
どんなに家族が恋しくても
家族は何処にも居ない
すがり付く宛もない
取り戻したくても取り戻せない
どんなに泣こうが届かない
ただ涙が零れ落ちるだけ
その涙を優しく拭って抱き締めてくれる
家族はもう居ない
私は庭へ向かう
ここで、父や兄とよく稽古をしていた
鬼ごっこをしたりかくれんぼをしたりして
遊んだりもした
けどこの庭は幸せな思い出ばかりが
あるわけじゃない
ここは、私が初めて人を殺した場所
父を殺して
五条Aを辞めた場所
初めて__絶望を知った場所
どれだけ時が過ぎようと
かつての家族との暮らしや思い出は
簡単には消えてくれない
私にとって家族が光だった
その光は父と共に無くした
私の手で無くしてしまった
思い出す度に胸が締め付けられる様に痛む
視界が歪む
涙が溢れそうになる
すると__
「A」
名前を呼ばれた
振り向くと、死んだ筈の両親が立っていて__
あの時と同じように優しく微笑んだ
思わず涙が零れ落ちた
あぁ...なんて都合のいい夢なんだろう
帰って来た私を家族が出迎えてくれる
少しぐらい、夢を見てもいいよね__
私は父さんに抱き付いた
母さんはそんな私の頭を優しく撫でてくれる
ずっと...ずっと謝りたかった
そして、馬鹿な私を叱って欲しかった
父さんに言われた事を守れなかった
女らしくしないと駄目だぞって言われたのに
相変わらず口は悪いし
悪いことをしちゃいけないって言われたのに
私は沢山人を殺した
親孝行も出来ない___馬鹿な娘でごめん
こんな私を許して欲しかった
ずっとそう謝りたかったのに
その謝る相手が居なかった
夢を見ても誰も居なくて
ただ独り言の様に謝るだけ
私は目を閉じる
頭の中で幼い子供の声が聞こえる
お父さん!今日は昨日より上手く出来たんだよ!
見て!お父さんの似顔絵描いたんだよ!
お母さんの着物早く着たいなぁ
早く大人になりたい!
ねぇ、お父さん!晴明がね...
あれ?どうして晴明は居ないの?
周りを見渡しても兄である晴明は居ない
出掛けてるのかな?
__ただいま、父さん、母さん
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露亞(プロフ) - ありがとうこざいます! (2020年1月9日 19時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
来羅(プロフ) - 露亞さん» 無ければ私の好きに考えて書きます! (2020年1月9日 19時) (レス) id: 6a0971bec3 (このIDを非表示/違反報告)
来羅(プロフ) - 露亞さん» 番外編という形でなら出せますよ!次の続編に入ってからになると思うので気長にお待ち下さい!何かこういう風に書いて欲しいとリクエストがあれば書いて頂ければ考慮して作ります! (2020年1月9日 19時) (レス) id: 6a0971bec3 (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - 終わりのセラフのキャラクターを少しでいいので出してもらいたいな…なんて(( (2020年1月9日 18時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
来羅(プロフ) - たぴ岡さん» 何回も読んで頂けるなんて嬉しいです!頑張りますね! (2020年1月4日 22時) (レス) id: 6a0971bec3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:来羅 | 作成日時:2019年12月29日 19時