【鬼滅の刃】鬼を以て鬼を制す 弐

八十六話:少年と鬼と4 ページ42

Aside






私は、意識を失った二人に羽織を着させて
静かに横にする


『義勇、これからどうする？』

義「...先生の所へ行かせよう」


『この子を、鬼殺の剣士にするのか
確かに、この子が本気で妹を人間に戻したいなら
常に鬼と関わる鬼殺隊は絶好の場所だね

けど、もしこの子が鬼殺隊に入隊して
禰豆子を連れて、人を襲った場合は＿＿＿
私達も、相応の罰を受けなきゃいけないね』




すると義勇が俯いて言う


義「すまない」

『...何が？』

義「Aも、先生も巻き込み
もしかしたら錆兎達も＿＿＿」

『...』



私は義勇との距離を詰めて
義勇の胸ぐらを掴み、押し倒す




義「...！」


『義勇が巻き込んだんじゃない
“私達”が巻き込んだんだよ
義勇、いつも私に言ってるでしょ
一人で抱え込むなって
その言葉、そのまま義勇に返すよ

家族が背負うものは私も一緒に背負う
家族が罰を受けるなら私も罰を受ける
義勇が腹を切るなら私は首を切ろう


一人だけ家族に残される痛みは義勇も
知ってるでしょ？』




義「...」


すると、義勇が私の後頭部と腰に腕を回して
自分の方へ引き寄せて強く、強く抱き締める

自分より一回りも二回りも大きい義勇の腕の中に
閉じ込められ、嫌でも体格の差を実感させられた




義「...すまない」

『謝ってばっかだね義勇は』


義「...Aの言う通りだ
これから“俺達”が先生達を巻き込む」

『うん』

義「生殺与奪の権をこの子供達に握らせる」

『うん』




一拍置いて、義勇が言う


義「ありがとう、A」

『礼を言われる事じゃないよ
義勇がやってなかったら私がやってた
考えてたこと、同じだったみたいだしね
家族なんだから当たり前でしょ』

義「家族...」





すると、ぐるんと体が反転して
今度は私が下になる
義勇が上に乗り、逃がさないと言うように
体重をかけてくる

両手を片手で拘束され上に纏められる


冷たい雪の感触が伝わる




目の前には義勇の綺麗に整った顔


義「A...」

静かに顔を近付けてくるので
出来る範囲で体をよじって顔を背ける


『こら、冗談はやめなって
こういうのは好きな子の為に＿＿＿』

義「冗談じゃない」



私は鬼呪を使って身体能力を上げて拘束を解く

そして、義勇がしようとしている事を阻止する
様に口に手を当てる




『これ以上何かしたら嫌いになるよ？』

義「...」


その言葉にピクリと反応する義勇



『わかったらどいてくれる？』

義「...わかった」

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