【鬼滅の刃】鬼を以て鬼を制す 弐

七十七話:聞こえる声 ページ32

義勇・錆兎side






痛む胸をおさえて、闇の中を進む

もう記憶は映し出されなかった


その変わりに聞こえてくるのは




悲痛な＿＿＿Aの声






＿＿＿お願いだから、楽にさせてよ

＿＿＿苦しい、苦しい苦しい

＿＿＿誰か、誰でもいいから助けてよ

＿＿＿つらい、つらいの...ｯ正気を失わせて

＿＿＿嫌だ、もう大切な人を失いたくない



＿＿＿帰りたい、あの家に...
父さん達が居る所に

＿＿＿何処に居るの？

＿＿＿ねぇ、一人に...っしないでよｯ





その悲痛な、今にも泣きそうな子供の様な声に
思わず顔をしかめる


すると途端に諦めたような
冷たい、自嘲するような声が聞こえた






＿＿＿ああ、こんな思いするぐらいなら
最初から家族なんて作らなきゃ良かったんだ



義/錆「「...！」」

その言葉に目を見開く
心臓を鷲掴みにされたような感覚がする





＿＿＿弱さを捨てないから
こんなつらい思いをするんだ

＿＿＿家族に執着して甘えてたから
結局こんな思いをするんだ






やめろ、否定するな

今までのお前の生き方を自分で否定するな


家族を大事にしていた事を＿＿＿

優しさを持っていた事を＿＿＿




そんな簡単に＿＿＿捨てようとしないでくれ


俺達はまだ＿＿＿






＿＿＿こんな人殺しが家族なんて
義勇と錆兎も嫌だよね...っ

＿＿＿父親を殺した上に
自分が生き残る為に他の子供を殺すような...
ろくでなしが家族なんてね...


＿＿＿自業自得だよ、諦め、よう...
嫌われても...仕方ないか...ｯ






その言葉に怒りを覚える

今、目の前にAが居たら怒鳴っていただろう



勝手に決めつけるな


俺達がAを嫌える筈がないだろう





何処だ、いつまでこの闇を進めばAは居る

早く、Aを連れ戻さなければ






＿＿＿家族家族って言って、家族がどんなもの
なのか私が一番わかってないんだもんな...

＿＿＿いい加減、家族ごっこやめよう、かな







こめかみの辺りでプツンと何かが切れる音がした

もう怒りを抑えられなくなってきた



思わず二人で怒鳴る


錆「A！何処に居る！！出てこい！
一人で抱え込んでこうなるぐらいなら
俺達を頼れ！俺達がAを嫌いになる？
勝手に決めつけるなっ！！」

義「ふざけるな、お前が諦めてどうする！
俺達は、Aを家族だと思ってる！
勝手に終わらせるな！」




するとAの声がピタリと止まり
聞こえなくなる






そして、遠くに白い光が見えた

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