九話:家族と居場所 ページ12
Aside
私が説明をし終えると
何かに気付いたのか鱗滝さんが言った
鱗「それを使う上で危険はあるのか?」
私は頷きながら刀を消した
ある
勿論ある
下手すれば死ぬ
『この刀の鬼は人の欲望を喰らう
心に住み着いて欲望を欲する
鬼に欲望を喰わせれば本来の能力を越えた力を
発揮出来るようになる
逆に言えば、鬼の力が増して所有者の体が
乗っ取られる可能性が高くなって__
心を強く保たないと自らも鬼になる
欲望に、鬼に呑み込まれると
破壊や殺戮を求める鬼に成り果てる』
まぁ、これはあくまで一般論だ
私の鬼は多少友好的なので
乗っ取りの可能性は低い
あまりの衝撃に皆が黙る
鱗滝さんが言う
鱗「何故そこまでして...」
私は少し黙る
今までの事を思い出しながら
目を伏せて言う
『そうするしかなかったから
別に強くなりたかった訳じゃない
けど、今まで生きてきた環境では
強くなるしかなかった
弱ければ死ぬしかなかった
強くなってもまた強くならないと死ぬしか
なかったから...』
俯いて、少しだけ拳を握りしめる
環境が人を形作る
そう誰かが言っていた
まさにその通りだ
殺さなきゃ殺される環境で育った
だから___
『自分の実力不足で大切な人達を失った
家族も、友達も全員...
私に力があれば守れたのに
私が弱いせいで皆死んでいった
殺したのと同じだ...
だからこれ以上、失わない為に、奪われない為に
強くなった
なのにっ___』
声が震え始めたのと同時に
頭に感触があった
顔を上げると、鱗滝さんが私の頭に手を乗せていた
鱗「もういい、お前はよくやった
帰る家も家族も居ないなら
今日からここがお前の居場所だと思っていい
よく、頑張ったなA」
『...!!』
鱗滝さんの言葉はストンと心に入ってきた
その言葉に反応するかのように
大きく見開いた目から大粒の涙がポロポロと
零れ落ちた
『...ッ、私っみんなの、家族になっていいの?
ここに、帰って来て...いいの?』
泣きながらそう言うと
みんなは私の手を握ったり
背をさすったりしながら
鱗「勿論だA」
義「俺、Aが家族になってくれるの嬉しい」
錆「俺達がAの居場所になる」
真「頑張ったね、A
これからはいっぱい楽しい思い出作ろうね」
『...ッ!ありがと、ありがとうっ』
みんなの温かい言葉が心に染みた
すごく嬉しかった
私は泣きながら「ありがとう」を繰り返した
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ぴーふふる - すみません💦今いましたね! (2022年10月12日 14時) (レス) @page10 id: 97d1a84e27 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーふふる - 真菰ちゃんは!? (2022年10月12日 14時) (レス) @page9 id: 97d1a84e27 (このIDを非表示/違反報告)
コクマ - 終命ノ夜ってなんで読むんですか? (2020年5月30日 13時) (レス) id: 9ee991fc40 (このIDを非表示/違反報告)
スモークサーモン - ぱすてーる@YouTube部 所属さん» 17話やるせないであってますよ 許せないだと、何が許せないになるんですか? (2020年4月26日 20時) (レス) id: 99f545fffc (このIDを非表示/違反報告)
あーるぐれい。(プロフ) - とても面白い作品ですね!でも1つ訂正が…。四十一話の「役不足」と言う言葉ですが、その仕事・役割が自分の力量に足りないという意味なので、この場合は「力不足」(その仕事・役割に対して自分の力量が足りない)と言う方が正解です!細かくてすみません…。 (2020年3月18日 0時) (レス) id: 86f01c478d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:来羅 | 作成日時:2019年10月27日 1時