東卍の白豹Part6

251話:平気じゃない ページ1

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ぼうっとしていると、足音が聞こえてきた

その方向を見れば、息を切らしながらエマが向かってきた




エマ「雪ネェ！！」

『...エマ、どうして此処に？』

エマ「ケンちゃんから電話来て...
すぐに雪ネェのとこ行って代わってくれって...
ねぇ、何が...あったの？」

『...』




ドラケンはわかっていたのだ
何かあれば直ぐに雪はいつも平気な振りをする
でも実際は全然平気じゃないのだと

同じ思いをしているのに、『年上だから』と
弱みを見せない雪をずっと見てきたから＿＿＿＿



エマも、普段とは違う雪の表情と雰囲気に
更に不安になってしまい、ギュッと雪の手を握った

何処となく空虚な瞳をしていて
誰かが手を握っていなければ
フラッと何処かへ消えてしまいそうだった



すると雪はふわりと笑うとエマの頭を撫でて
まるで子供の相手をするような優し過ぎる声で言う




『急いで来てくれたンだね...いい子、いい子
ごめんネ、少しエマに甘えるよ
タケミチの付き添いして貰ってもいい？
救急車はもう呼んであるからサ...
後でタケミチの容態教えて貰える？』

エマ「...雪ネェ、わかったよ
でも、雪ネェこそ...大丈夫じゃないでしょ？
無理しないで！ウチ、話聞くぐらい出来るよ？」



なんでこんな時まで自分より他の人なの
なんでそんな優しく出来るの、とエマの方が泣きそうだった

すると雪は困ったように笑う





『ごめん...大丈夫だケド...少し、疲れちゃったンだ
ごめんネ、エマ
少し...1人にさせて欲しい』

エマ「雪ネェ...」




雪からは“拒絶”が返ってきた

一瞬だけ、ほんの一瞬だけ雪の気持ちを感じ取った
エマは思わず雪の手を離してしまった



困ったように笑いながら再び『ごめんネ』と言って
遠ざかっていく雪の背を見つめていたエマ

そして、未だ意識が戻らない武道に視線を向けて言う




エマ「また謝ってばかりだよ雪ネェってば...
ねぇ、何があったの？教えてよ」



気づけば、救急車のサイレンがすぐ近くまで聞こえていた













武道をエマに任せて1人になった雪は家に向かっていた


1秒、1分と時間が経つ程にふつふつと怒りが湧いてきて
掌に爪が食い込む程、拳を強く握った



家に着くと鍵を開けて家に入る

そして＿＿＿＿




『くそっ！！』






入ってすぐ、感情任せに玄関の壁を強くドンッと殴った



自分に対して、怒りが湧いていた＿＿＿＿

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