東卍の白豹

10話:不良の時代 ページ11

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雪は言う


『チームって...黒龍は継がないの？
真一郎君、黒龍はマイキーに継がせたいって言ってて＿＿』



雪の言葉が終わる前に万次郎は言う





万次郎「オレさ、シンイチローみたいに
カッケェ仲間集めて最強のチーム創りたいんだ」

『...』


万次郎「シンイチロー達よりも強いチームな！
そんで＿＿＿」







さっきの、ダセェって言葉を思い出す



万次郎「オレが不良の時代を創ってやる！！」


『...！！』






雪は静かに目を見開く

ザァッと強く風が吹く


そこで雪は自分の世界がガラリと変わったのを感じた





同時に、初代黒龍を、真一郎を見た時の高揚感を思い出す


不良の時代を創ると言った時の万次郎は
真一郎にとてもそっくりだった




自分がついていく人間をやっと見つけた気がする

あぁ、お兄ちゃんも真一郎君に会って
こんな気持ちだったのかな


なんて、思う






万次郎「ダセェなんて二度と言わせねぇ」

『...』




万次郎「見てみたくねぇ？
兄貴達の時みたいなカッケェ時代をさ
今度は、オレらで」


『お兄ちゃん達みたいな...』



兄の異名を継いで現役時代の白豹を真似るほどに
初代黒龍に、兄に憧れている雪にとって
その言葉は目を輝かせる程に魅力的だった






万次郎「だからさ、ユキ
オレについてこい
黒龍は諦めてオレのチームに入れ」




さっきの言葉を聞いた時にはもう雪の答えは決まっていた


純粋に輝かせていた瞳、次の瞬間には
獲物を捕らえた様な鋭い眼光を宿していた

その紫色を細めて、ニイッと不敵に笑う





『上手く使いこなしてくれよ？
どんな奴にだって噛み付いてやるからサ、総長』


万次郎「気ィ早ぇよ...けど、ありがとな！」









東京卍會が出来る、少し前の出来事だった












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その数日後、“ヒーロー”が取り零してしまった“幸せ”を
雪は意図せず救うことになる




その日は、やけに落ち着かなかった日だった
学校には行ったものの、気分が乗らなかったので
途中で抜けて喧嘩をしていた

適当にブラブラしていると、いつの間にか夕方になって
日が落ちかけていた





そろそろ帰るかと思いながら
最近ハマって舐めていた棒付きキャンディを
ガリっと噛み砕いた


昔の兄と同じ白い髪が風に揺れて、目を瞑って風を感じる







その時、普通だったら感じない筈の違和感が鼻についた


目を開け、辺りを見渡すと“赤”がチラついた

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