とある探偵社の双子の女医

蝶が１頭 ページ3

．









貴「虎？」


夕刻、同僚の国木田が扉を勢いよく開けて入ってきた。

最近虎による被害が急増している。
国木田はその虎の確保に向かった筈なのだが…


国「嗚呼、あの唐変木によると１５番街の西倉庫に虎が出るらしい。周囲を固めろとのことだ」

与「そこで非番の妾達にも同行を願うと」

国「嗚呼」


唐変木とは同じく同僚の太宰治の事だ。

虎か…楽しそうかもね。


貴「私はお姉ちゃんが行くなら行くかなァ」

与「怪我人がでるかもしれないねェ。行こうじゃないか」

国「…助かる」


国木田は頭をかかえ、はぁ…と溜息を漏らす。
幸せ逃げますよ。


谷「国木田さん」


其処へ申し訳なさそうに谷崎が呼びかける。


国「ん？…おお谷崎か」

谷「ボク、此処でナオミの帰りを待ッててもいいですか？買出しを頼んでいたンです」


だからナオミいなかったんだ。
ナオミまだ学生なのに偉いなぁ。


国「そうだな。今回は危険だから此処で待っててくれ」

谷「ありがとうございます」


一連の会話を聞き終えた後、自分の席でミニプランタに入ったカブを眺めている彼に声をかけた。


貴「賢治は？」

賢「僕ですか？虎というのを見たことがないのでよく判らないのですが…
同行させていただきます！」


無邪気な笑顔で答える賢治。

嗚呼、癒し。


与「乱歩さんは如何するんだい？」

国「嗚呼、俺から連絡をいれｔ((乱「おっはよ〜！」乱歩さん！？」


扉を跳ね飛ばす勢いで開けるや否や時間外れの言葉を発する乱歩さん。

ほんと、自由人だ。元からだけど。なんて云わないけど。


国「まだ連絡もいれていないのに…」

乱「いやぁ、なんかAに呼ばれたような気がしてねぇ」

貴「呼んでないね」

乱「ありゃ残念」


そう云いながら飴玉を口に放り込む乱歩さん。
この人本当に２６歳か。


与「それで乱歩さんは？行くのかい？」

乱「君達が如何してもって云うならついてってあげてもいいけどー？」


流石乱歩さん。仕事内容云ってないのに。判ってらっしゃる。

乱歩さんは悪戯心満載の糸目で国木田を見る。
嗚呼、あかんなこの人。楽しんでるわ。


国「お願いします」(即答)

貴「相変わらずの苦労人ね」

国「嗚呼、胃に穴が開く」

与「ほほゥ……？」

国「はい完全理想主義者国木田独歩。健全です」

貴「お姉ちゃん強い」


お姉ちゃんが発したたった３文字で背筋が伸びる国木田。

今日もお姉ちゃんが尊いです。

蝶が２頭→←設定

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す