とある探偵社の双子の女医

蝶が２０頭 ページ24

．









与「その傷、なンだい…？」


与謝野が震えた指でAを指した。
続いて国木田も口を開く。


国「な、なにがあったんだA…？
それほどの傷…」

与「こ、こんな傷…完全なる致命傷だよ…」

貴「？？」


全く意味が判らなかった。
二人は何を云ってるンだろう…？


国「真逆気づいてないのか…？」

与「A…？く、首…」


首…？

疑問に思い乍も首に手をやった。


貴「……っ」


血。
血血血血。


貴「ぇ…」


刹那、視界がグラッと揺らいだ。
だんだん体から力が抜けていくのが判る。


与「っA！？
国木田！直ぐ医務室まで運んでくれ！！」


ふわっという浮遊感と共に、意識を手放した。



＿
＿＿＿
＿＿＿＿＿




与謝野ｓｉｄｅ


おかしい。

そう思ったのはAが帰ってきてすぐの頃だ。

帰りが遅い時点で、何かがおかしいと思ったンだ。
自分ではそう、気づいてた筈なンだ。

それに、まるで今まで何もしていなかったような口調、曖昧な記憶、ほとんど無感覚だった傷…

約４時間。
妾達が仕事をしている時間、真逆こんな傷を負っていたなんて…

一体何があったンだい？
何をしてたンだい？
妾達が異変に気づいて直ぐ探しに行ってたら、Aは傷を負わずに済んだのかい…？
そもそも診療所に行くことに反対してればよかったのかい…？

目の前で眠る白くて儚い妹に返事のない質問を心の中で繰り返す。


与「妾は如何すれば良かったンだい…？」


医務室は何時にもなく静かだった。




与謝野ｓｉｄｅ end



＿
＿＿＿
＿＿＿＿＿




有川ｓｉｄｅ


有「…」


自分の手にある血の滴るナイフを見つめる。
何より、有川の頭がこの現状についていけてなかった。


有「俺、何でナイフなんか…」


俺は誰だ？
＿＿＿有川浩だ。

何で地下の拷問室にいるんだ？
＿＿＿人虎の居場所を掴むためにだ

なら何故此処に来たんだ？
＿＿＿フェイクが捕まえた探偵社員から情報を得るため、に…

探偵社員とは誰だ…？
＿＿＿昔の因縁がある、与謝野A…？

Aは今何処に居るんだ？
＿＿＿判らない

俺はナイフを持って何をしていた？
＿＿＿真逆…

此の血は誰のだ？
＿＿＿ありえない…俺は…

Aは何故いない？
＿＿＿俺が…殺した…？



有「っ…」


真逆。有り得ない。
一番にその時の記憶が無い。
それに彼奴は治癒の類で、不死の異能だった筈だ。

でも、もし…

もし、本当に俺が殺したなら…


俺は…



有川ｓｉｄｅ end

＊イメ画＊→←蝶が１９頭

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す