拝啓、＿＿＿＿＿な君へ (ページ11)

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俺と翔太は、似た者同士だと思う。
そりゃあ、同じような環境で育ってきたからっているのもあるけど。似てないと言われれば、共通点なんて少ないと思う。でも、根本が似ている気がするんだ。何が、なんてわからないけれど。

『りょーたぁ、』
「…はいはい」

寝るから起こして、なんて言葉で言われなくてもわかる。それぐらいの時間を共有してきた。好きとか嫌いとか、そんな次元じゃないくらいしょうたの存在は大きい。喧嘩なんて俺が覚えている限りはしたことなくて、近すぎたからこそ、変にお互い干渉してこなかった。

(…なのに、あまり話さなくなった今でも俺以上に俺のことわかっちゃうあたりさすがだよなあ)

…なんて、それは俺も同じか。

翔太は昔から俺にどこか影響されやすくて、俺ももちろん、翔太からだけは影響を受けやすかった。
翔太のためにお弁当を選んだり、おかずを食べてあげたり、もし翔太だったらどうするか、なんて考えて、翔太が選択するであろう方を選んできた。翔太がいたからジャニーズを続けてきたし、高校も大学も、翔太がいるところを無意識に選択していた。

翔太がいるのは当たり前。そして、翔太にとっても俺がいるのが当たり前になれば良い。
なんてことをきっと、無意識に考えてしまっていたんだと思う。男兄弟がいない分、翔太が俺の兄弟みたいなもので。同じ学年だったからこそ、自分の片割れのような感覚が確かにあったからだ。

そんなしょうもない、独占欲とも呼べないよくわからない考えに、翔太を巻き込んでしまっていたのかもしれないけれど、俺は今ある景色を望んでいたから、きっとこの先も今までしてきた選択を後悔することなんてないのだろう。

拝啓、隣の翔太へ。

俺らの間には、名前がつけられないような絆が確かにあるよね。

アイコンタクトだけで伝えたいことが簡単に伝えられるのに、

いざ言葉にするってなるとお互いうまく伝えられない。

口下手なところはよく似てるみたいだからさ、

それが原因で他の誰かとぶつかることは少なくなかったね。

でもね、翔太。

俺は、翔太の伝えたいことがちゃんと相手に伝わるように、

サポートするためにいるんだと思うんだ。

相手のことを思いやる翔太だから、意地悪なことなんて言わないでしょう？

世界中が翔太の敵に回っても、俺は最後まで翔太を信じてる。

俺はそのために、これからも静かに隣にいるからさ。