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バイト先に行けば。
ずっと遠くで見てた彼を、間近で見れて、
おまけにお話なんかも出来て。
今までの私だったら、考えられなかった光景に、少し、感動してしまう。
「じゃあ、玄樹くんと大吾くん。
休憩入ってええよー。」
はーい、って返事する玄樹くんの後を、
マイペースに付いて行く彼。
殆ど無意識で、見つめて居た。
お疲れ様ー、なんて。
同じく休憩に入った社員の中村さんから声掛けられて。
周りの女の人からは、お菓子貰って。
明らかに、可愛がられてる。
そんな西畑くんを、横目で見ては、
意地悪く、溜息なんか吐いてしまう私。
西畑くんは、人の懐に入るのが上手。
それは、ここ最近のバイト姿でも直ぐ分かった。
店長さんだって、もう。
大吾くん呼びになってるし。
……私だって、まだ西畑くん呼びなのに。
バレンタイン前の、賑わった店内で、
棚の整理をして居ると。
「Aちゃん、今日はもう帰ってええよ。」
奥から聞こえた店長さんの声。
「天気悪くなるみたいやし。
3人とも帰り電車やろ?」
「……あ、はい、」
「そろそろ人も少なくなると思うし、
後は、私達だけでええから、な?」
ふっくらとした頰を赤く染めて笑う店長さんに、お礼を言って、控え室に戻る。
……傘、持って来てないや。
なんて考えながら。
途中、鞄に入ったチョコのことを思い出して。
昂ぶる気持ちを、宥めながら、
西畑くんの居る控え室に向かった。
義理だから、義理!
何度も練習した言葉は、
なかなか不憫な感じになってしまった。
けど、これしか言えないから。
必死に、心の中で唱えて。
いざ、とドアノブに手を掛ける。
ガチャリと開いた扉の音にも、
2人は未だ気付いてないらしく。
話し込む声に、扉の隙間からそっと。
耳を傾けると。
西畑「ほんまに良かったわー。
玄樹がこのバイト誘ってくれて。」
普段、冷静な西畑くんからは、聞くことの出来ない、少し楽しそうな話し声。
岩橋「でもさ、相変わらず性格悪いよ。」
西畑「何がやねん。彼奴らが悪いんやろ。
ほんまに鬱陶しい。」
……にしても。
何かちょっと、おかしくない?
楽しそう、ではあるんだけど。
皮肉っぽいその口振りとか、
どうも西畑くんと、重ならない。
気になる、その一心で。
悪趣味だとは思うけど。
堪えきれず、扉の隙間に耳を押し付けた。
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渋 谷 ク リ モ(プロフ) - いえいえです!これからも更新頑張って下さいね! (2016年4月8日 19時) (レス) id: 204a553724 (このIDを非表示/違反報告)
紀衣(プロフ) - 渋 谷 ク リ モさん» ありがとうございます!ファンだなんて…うれし限りです!!(>_<) (2016年4月8日 5時) (レス) id: d7c93b1180 (このIDを非表示/違反報告)
渋 谷 ク リ モ(プロフ) - 一昨日 、Twitter フォローさせていただきました!紀衣さんのファンです(>_<) (2016年4月8日 1時) (レス) id: 204a553724 (このIDを非表示/違反報告)
紀衣(プロフ) - ありがとうございます!わわわ。そう言って下さると嬉しいです!良かったら新作も覗いて下さいね(*^^*) (2016年3月13日 21時) (レス) id: d7c93b1180 (このIDを非表示/違反報告)
Kなゆ(プロフ) - 紀衣さん完結おめでとうございます!めっちゃ面白かったです。終始ハラハラドキドキしながら読んでました。新作の方も頑張って下さい! (2016年3月13日 17時) (レス) id: 0c6d5c72fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紀衣 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/akomot11221/
作成日時:2016年2月7日 0時