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*
後ろから抱きつくような形。
背中に、ピタリと頰をつけた彼は、
何だか少し、子供っぽくて。
可愛いな、なんて。
私にとっての紫耀は、体こそは私より一回り大きいけど。
どこか、弟みたいな存在で。
事あるごとに、私の周りを付いて歩く紫耀が、
こんな風に、私に擦り寄って来るのも、
珍しくなかった。
「しょーう、どうしたん?」
少し、振り向いて言うと、
むすっとした、紫耀と目が合って。
平野「……俺には?」
「え?」
平野「……俺には、チョコ、くれへんの?」
そうやって言われて。
初めて思い出した。
「あげるよ、勿論、」
平野「……ほんまに?」
「当たり前やん。紫耀にはお世話なっとるし。
あ、あやちゃんもあげるからね。」
毎年、紫耀にもあげてたんだっけ、なんて。
……紫耀には、言えないけど。
あや「え、じゃあうちもお返しするん?」
「勿論。期待してるでー。
あやちゃんのチョコ、うち大好きやねん。」
あや「めんどー。」
怠そうに呟いたあやちゃんは、
こう見えて、料理は得意で。
女の子らしい一面も、あったりするんだ。
不意に、体に纏わりついてた感覚が消えて。
絡めてた腕を離した紫耀が、
一歩引いて、私を見つめた。
「……紫耀?」
何か言いたげな視線に問い掛ける。
紫耀は、少し、眉を下げて。
「……どうしたん?」
平野「……ううん。
楽しみにしとる、チョコ。」
次の瞬間には、いつもの無邪気な笑顔。
うん、って頷くと。
僅かに、紫耀が口を開けた、気がしたんだ。
何か、言いたげに。
あや「トイレ行ってくるー。」
あやちゃんの声が、
紫耀の出掛けた言葉を遮って。
「あ、待ってうちも。」
この時、黙って聞いてたら。
紫耀は、何か言ったのかな。
あや「不憫やなぁ。平野も。」
「は?何言ってるん、あやちゃん。」
あや「別にー?」
知らなかった。
紫耀の気持ちなんて。
考えたこともなかった。
平野「……」
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渋 谷 ク リ モ(プロフ) - いえいえです!これからも更新頑張って下さいね! (2016年4月8日 19時) (レス) id: 204a553724 (このIDを非表示/違反報告)
紀衣(プロフ) - 渋 谷 ク リ モさん» ありがとうございます!ファンだなんて…うれし限りです!!(>_<) (2016年4月8日 5時) (レス) id: d7c93b1180 (このIDを非表示/違反報告)
渋 谷 ク リ モ(プロフ) - 一昨日 、Twitter フォローさせていただきました!紀衣さんのファンです(>_<) (2016年4月8日 1時) (レス) id: 204a553724 (このIDを非表示/違反報告)
紀衣(プロフ) - ありがとうございます!わわわ。そう言って下さると嬉しいです!良かったら新作も覗いて下さいね(*^^*) (2016年3月13日 21時) (レス) id: d7c93b1180 (このIDを非表示/違反報告)
Kなゆ(プロフ) - 紀衣さん完結おめでとうございます!めっちゃ面白かったです。終始ハラハラドキドキしながら読んでました。新作の方も頑張って下さい! (2016年3月13日 17時) (レス) id: 0c6d5c72fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紀衣 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/akomot11221/
作成日時:2016年2月7日 0時