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*
歩き出した紫耀の背中は。
まるで、話し掛けないで、って書いてるかのように。
寂びしい後ろ姿で。
自分の気持ちを尊重した私に今、出来るのは。
西畑「よっ、」
「っわ、」
…自分の気持ちを、ぶつけることだけ。
西畑「んな驚くなや。」
「だって、」
西畑「だって？何？
平野に釘付けやったみたいやけど？」
わざとらしい笑顔だけど。
ふん、と盛大に鼻を鳴らす辺り。
「……やきもち？」
西畑「っ！はぁ！？」
とか思ってしまうよね。
凄い形相で私を見た西畑くんが、
何か言いたげに口を開いて。
パクパクと息だけを吐いたり吸ったり。
そんな彼を、じっと見つめる。
結局、西畑くんの口から言葉は出ないまま。
上から伸びた手が、紫耀がしたのより乱雑に。
でも、優しく。涙を浚う。
西畑「…何泣いてんねん、」
「……泣いてへんし。」
西畑「…泣いてるやん。」
「……」
もう見えなくなった紫耀の後ろ姿。
前を見つめた西畑くんが、
私を向かずに呟く。
西畑「…今度は俺の番やで。」
…何それ。
いちいちかっこいいし。困る。
私は、聞こえなかったフリをして。
階段に足を掛けた。
後ろから、パタパタと西畑くんの足音が聞こえて。
西畑「今日シフト入っとるやろ？」
並んだ西畑くんの、思っていたより大きな背に。
少し、びっくりして。
目線を上げると、目が合う。
西畑「…お前その顔、」
「…え、何、」
西畑「……何でもない。
ぶっさいくやなぁ、って！」
「はぁ？」
何それ。そんなの分かってるし。
むくれる私を他所に、
ゲラゲラと笑う西畑くん。
…やっぱりこいつ。最低。
西畑「せやシフト、」
「入ってます！」
西畑「あっそ。」
…あっそ、って。
何なの、本当。
西畑「じゃあ今日、帰り待っとれ。」
「…何で、」
西畑「一緒に帰るから。」
平然と言いのけた西畑くんは、
上から意地悪な笑みを投げ掛けて。
えー、って私の声と。
被さる、俺様な声色。
西畑「お前に拒否権ないし。」
…終始、最低だと思うけど。
けど。
気付いてる。
私の歩くスピードに、合わせてくれてるのも。
涙拭いてくれた時。
周りに見えないよう、気使ってくれたのも。
そんなこと、されたら。
私には、やっぱり拒否権なんてないし。
断る理由も、見つからない。
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渋 谷 ク リ モ(プロフ) - いえいえです！これからも更新頑張って下さいね！ (2016年4月8日 19時) (
レス) id: 204a553724 (このIDを非表示/違反報告)
紀衣(プロフ) - 渋 谷 ク リ モさん» ありがとうございます！ファンだなんて…うれし限りです！！(>_<) (2016年4月8日 5時) (レス) id: d7c93b1180 (このIDを非表示/違反報告)
渋 谷 ク リ モ(プロフ) - 一昨日 、Twitter フォローさせていただきました！紀衣さんのファンです(>_<) (2016年4月8日 1時) (レス) id: 204a553724 (このIDを非表示/違反報告)
紀衣(プロフ) - ありがとうございます！わわわ。そう言って下さると嬉しいです！良かったら新作も覗いて下さいね(*^^*) (2016年3月13日 21時) (レス) id: d7c93b1180 (このIDを非表示/違反報告)
Kなゆ(プロフ) - 紀衣さん完結おめでとうございます！めっちゃ面白かったです。終始ハラハラドキドキしながら読んでました。新作の方も頑張って下さい！ (2016年3月13日 17時) (レス) id: 0c6d5c72fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紀衣 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/akomot11221/
作成日時：2016年2月7日 0時
